メニエール症状の鍼灸カルテ

突然の回転性めまい・吐き気に鍼灸コール

一児のママさん(40代)、出先で突然に起こった回転性のめまい(眩暈)に吐き気

それを我慢しての車の運転…途中何度も休憩したそうですが、さすがに自宅についた途端に安心したのもあったのか嘔吐…。

その翌日に当院に鍼灸コールをいただきました。

来院時は、足取りも弱々しく顔色も真っ青。
いつもの明るい表情も乏しく、声に力がありません。

以上の症状であれば、当然の状態といえます。

話を聴くと
「美容院であお向けの姿勢が続いた後、起き上がった時にめまいが起こった。」とのこと。

長時間あお向け・うつ伏せの状態が続いた後、急に起き上がることでめまいが起こることがあります。

とはいえ、美容院の姿勢が直接の原因ではありません。
それまでに体質的な“何か”が別の原因として隠れていたのです。

多くの場合は過労・心労・睡眠不足のような慢性的に体力を消耗するようなことが背景に隠れています。

聴けば、この方にも睡眠不足やストレス要因があったとのこと。
加えてこの夏の暑さが疲労や睡眠不足の程度を強めています。

東洋医学ではメニエール症状の多くは腎虚体質によるものと診ることが多いですが、この方もそのタイプのようです。

鍼灸師のための☝point情報

脈診所見では、脈が細く硬く深く沈んでいます。沈脈・弦脈・細脈と呼ばれる脈です。
腎の部位には弱脈を現わしています。

また弦脈であること。
そして「めまいと吐き気があるにも関わらず運転する」という情報から、
気力が強く、いわゆる肝実の気質が強いタイプだと見受けられます。

おおまかに言うと水虚木旺の証だと言えます。

一般的には「上実下虚(じょうじつかきょ)」という状態がわかりやすいです。

身体の上部では渋滞のようになっており、それがめまい吐き気を起こしています。この状態が“上実”です。
しかし、その渋滞を解消するだけの底力が残っていない…そんな状態が“下虚”です。

鍼灸の治療方針としては、身体の底力を補充し、上部の渋滞を解除する治療を行います。

治療終了後はめまいや吐き気は治まり、顔色や声の力もかなり回復していました。

とはいえ、まだ油断はできません。
しっかりと睡眠を摂ること、普段は安静しておくことをお願いして治療終了としました。

しかし・・・「明日から九州に車で旅行に行くのですが、行っていいですか?」とのこと。これには私も(この方の精神力に)びっくりしましたが(笑)

「運転は旦那さんにしてもらうこと」を約束してもらい鍼灸治療を終了としました。

2診目・吐き気は無いが、頭を動かすと…

翌週、めまい発症後の2診目です。
(熊本城のイラスト)
「おかげさまで九州旅行は無事に帰ってこれました。」

「運転も少しだけできました。岡山~山口の間くらい」
 (んっ!?話が違うゾ…)

「治療の後、息子の参観日があって、行けるか不安だったのですが行けました!」
 (これも聞いてなかったよ~…)

「ただ、首を動かすとフワッと(めまいが)来るんです。」
 (そりゃそうだよね…)

ということで、しっかりめまいが起こらない体質を定着させるべく“上実下虚”体質を改善させる治療です。

治療方針は前回と同じです。

3診目・まだ無理してらダメですか?

「どうもまだフワフワ~ッとしためまいがあります。」

「無理して疲れを感じるとめまいも強くなる感じで…」
 (そうです。だから安静にして欲しいんです。)

「睡眠を摂るとマシになる気がします。」
 (そう!だから睡眠が大事なんです。)

めまい症状は東洋医学ではその背景に疲労・睡眠不足が関係している…と書きましたが、めまいの改善には、安静や休息・そして睡眠がとても大切です。

この方はどうも気力が強く、ナチュラルに無理を重ねるタイプですが、体感的に「睡眠がめまい改善に良い」と察してくれているようです。

「やっぱり(めまいが)治りきるまで安静にしないとダメなんですね。」
と、体感的に、本能的に分かってくれたようです。

「めまいの体質が定着してしまうと、体調が不安定になれば簡単にめまいを起こすようになりますよ。」とアドバイスを伝えて、しっかりと鍼灸を受けてもらうこと。そして安静を意識してもらうことを理解していただきました。

4診目・長時間あお向けの後に起き上がると…


「ネイルサロンで(ネイルしてもらっている間)長時間あお向けの後、起き上がったときに軽いめまいがしました。」

「でもそれも一瞬で治まって、今週はめまいはあまり気にならないです」とのご報告。

このメニエール症状の発症がこれと同じ状況ですから、それも無理からぬこと…。
とはいえ、めまいもごく軽度ですぐに治まったことは良い兆候です。

自力で回復できる力は備わってきているとみることができます。

次の回で対メニエール症状の鍼灸ケアを卒業とすることを告げてこの日の診療は終了としました。

当院の東洋医学的メニエール鍼灸ケアを希望される方は

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