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よだれが朝から晩まで止まらない…
よだれつわりの症状に耐えかねて当院に受診された妊婦さん、当時14週の方の鍼灸カルテです。
よだれつわりの症状と脈診腹診所見
2回目の妊娠、よだれつわりは初めて。
5,6週目から水分が摂れず入院、点滴を始めた頃からよだれつわりが始まる。
後鼻漏もあり、痰・鼻水も気になる。
脈診と腹診の所見・・・全体に虚(きょ)の反応が多い。
水分が摂れず入院したほどの経験があるので、このような所見が現れるのも無理はありません。
※虚(きょ)とは“体質的な弱りや疲れ”の程度が強い状態を言います。
鍼灸師のための☝point情報
つわりの原因体質は基本的に水毒(すいどく)湿痰(しったん)です。
つわりを根本的に治すにはこの水毒・湿痰を取り除く必要があります。
鍼治療でいうと瀉法になります。
しかし妊娠初期の方に瀉法を主軸にした鍼をするのは不安な面もあります。
そこでしっかりと体の元気をたて直す必要があります。
いわゆる先補後瀉という治療方針ですね。
初診の治療と帰宅後のアドバイス
体質的な弱りやお疲れの面が強いため、その回復が必要です。
初診では体力回復の鍼を行うことで、母体と胎児の安全を確保します。
これを安胎(あんたい)効果といいます。
つわり治療をメインにするのは残念ながら次回になります。
少しでも早くつわり治療に入れるよう、自宅灸のツボをお伝えして初診終了としました。
2診目・・
気になる初診の結果は・・・
「よだれ症状は変わらず続いている…」とのこと。
初診時の治療方針からすると予測できる結果なのですが…
残念そうな表情をみると、少しでも早く結果を出したいと思うのが治療家の心情です。
そこで2診目からは治療方針を“水毒を減らす鍼”を治療の中心とします。
体質的な弱りはまだ少し残っていますが、自宅でのお灸ケアを続けていただくようお願いして、つわり治療を本格スタートです。
つわり治療と安胎治療の違いは、使うツボ(経穴)や、鍼刺激の強さが違います。少しづつ鍼の刺激を増やし、使うツボの組み合わせを変えてつわり治療を行います。
よだれが止まり、嬉しくて思わず…
治療方針を変えた2診目の翌朝、当院に電話がかかってきました。
「昨日の鍼の後、よだれが止まっていることに気づきました!」
「うれしくて思わず電話してしまいました!」
「よだれつわりの治療って本当に効くんですね(笑)」
と、こちらも嬉しくなるコメントをいただきました。
3診・よだれ症状は一進一退
喜びのお電話をいただいてから1週間…。
あのまま治って欲しいところでしたが、あの感動に反してよだれ症状は一進一退を繰り返していました。
よだれの量は減っているのですが、一旦減ってまた少し増えた…という症状の揺り戻しの状態です。
希望が見えただけに、精神的にガッカリ感が大きいのでしょう。
よだれ症状を減らすためにもう一つアクションが必要だと感じ、食生活を変えてもらうことにしました。
甘いもの断ち。つまり、甘い物の飲食をストップします。
水毒(すいどく)体質は、甘いものを摂取することで増えます。
しかし「つわりがひどいと果汁やジュースなどしか摂れない…」
そんな状況がよく見受けられます。
ですから、鍼治療で一旦 つわり症状を軽減させ、食べられる食品のレパートリーを増やしておくのです。
3診目のつわり鍼灸は、水毒除去をさらに強めて、甘いもの断ちの目標を立てて終了としました。
4診目・甘いもの断ちの効果が…
予定通りよだれつわりは減少しました。後鼻漏の症状・痰・鼻水のお悩みも解除されています。
よだれ症状は完全に無くなったわけではありませんが、
「よだれを吐き出さなくて済むようになりました。」
「(唾液を)飲み込んでも気持ち悪くないです。」
「時間帯によってよだれが増える時があります。」
以上のようなコンディションに変化しています。
5〜8診・悪化要因への耐性をつけるケアに移行
その後の状態は以下の通りです。
・実家への帰省(食生活の変化)
・台風による気圧・湿度の変化
・職場復帰へのストレス増
…などの悪化要因が加わり、その都度つわり症状の増減が現れていますが、全体的な“よだれ分泌量の減少”は確認できています。
今後は悪化要因に対して耐性・抵抗力をつける目的で現在も治療継続中です。
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