産後も続く唾液つわりの診療録

つわりというと妊娠初期だけの症状と思いがちですが、実はそうではありません。

つわりの症状や体質が強すぎる方は、出産ギリギリまでつわりが続くケースや、産後もつわりが続くケースがあるのです。

当院にも年に何人かそのような方が来院されます。今回の記事はそのような産後もつわりが治らない方の診療録の紹介です。

つわりに関する問診所見

現在、産後1年7か月。
妊娠中は出産ギリギリまで唾液つわりが続いていた。
出産が終わり、ようやくつわりが終わるかと思いきや現在も続いている。

唾液は夕方に量が増してくる。夕食後に減ってくる。
産前に比べると症状は軽いかもしれないが、一向に治まらないつわりに精神的に疲れている。

口の粘り・舌縁部の痺れ感じ
産後は口内炎ができやすくなった
ノドの詰まり感
食欲がなく、吐き気もあり、胃もたれ、胸やけもある。
嘔吐もまだ1日一回は吐いている。

便は2日に一回、尿は1日に三回
手足の冷えも強い。
…などなどの体調も併せて持っています。

妊娠期に漢方薬を処方され、半夏厚朴湯、当帰芍薬散、茯苓飲を服用したが、どれも無効であった。
出産時は胎盤の剥離がうまくいかず、出血過多⇒輸血を受けた。

◆脈診をしてみましょう…

脈は浮軟沈弱。左右関上の内外に実。

腹診もみます
心窩部~胃脘部にかけて実。
臍下の虚・弱り

鍼灸師の診立て

脈診・腹診の反応から、消化器系(脾胃)の水毒の停滞が強く、排出すべき水が多くあることが分かります。
その反面、つわり生活が長期間続いたことによる疲れもあり、体質的な弱り(虚)もしっかり出ています。
もちろん産後という状態からも、体質的な弱り・虚は無視できません。
産後は無条件でお疲れ体質だと思って良いでしょう。

治療としては、消化器系(脾胃)の力を補給・底上げすることを最優先とします。
そして唾液つわりの本体である水毒を体外に追い出すことを治療の後半に行います。

この2点を大きな治療方針とします。また甘い物は飲食ともに節制してもらいます。
甘い物は水毒の元になるからです


ご自宅でしてもらうお灸のツボなどをお伝えして初診の治療は終了とします。
しばらくは週1回の通院とします。

2診目は一週間後、唾液の量は変化するか?

「この2日間、よだれの量が減った気がする!」
「口中の粘り感も減っている。」とのこと。

なかなか良い反応です。
しかし、夕方のつわり症状悪化の傾向はまだ残っており、
他にも舌縁部の痺れも残っているとのことです。

◆脈診と腹診を行います…
脈証:浮弦沈弱
腹証:心窩部の詰まりは減り、胃脘部の実・詰まりが残る。
左側腹部の張りがある。…と、このような所見です。

鍼灸師の診立て
脈診・腹診所見が初診時に比べて変わってきました。
わずかな変化に見えるかもしれませんが、体質的な弱りが改善されつつあります。つまり体力が回復し、底力・回復力がついてきたと判断できるのです。

となると、水毒を追い出す力も増してきているとみることができます。
自覚症状でも、唾液量が減っているとの実感もあるようです。

妊娠中ではないということも体質的な安定を意味しますので、治療効果が出やすいという有利な面があります。

以上のこともあって、水毒を排出する治療を初診ときより積極的に行います。

3診目「よだれが減りました!」

「よだれが減りました!」との報告を受けました。
今思い出しても、この時の笑顔は忘れらないですね。

とはいえ、まだまだ油断はできません。
まだ嘔吐も2日に一度はするようです。

これまでは、1日一回ペースで嘔吐していた状態が半分に減ったのは良い変化です。
しかしこの症状もゼロにしないといけません。

鍼灸師のコメント
産後も続く唾液つわりと吐きつわりでしたが、嘔吐そのものは唾液過多がきっかけになって引き起こされていたようでもあります。

そのため唾液量が減るに従って、嘔吐症状は順調に減っていくと考えられます。

治療は初診・2診と同じく、消化器系の力を補充し、水毒を追い出す鍼灸です。
しかし水毒排出の比率は強めていきます。唾液が減っている今がたたみかけるチャンスなのです。

4診目「なんでもっと早く…」と軽く後悔

唾液つわりの症状は大幅に改善されました。

唾液量も減り、唾液症状は満足いく形で改善。
口の粘り・喉の詰まり感・胃の不調も軒並み改善されました。

「なんでもっと早くココに来なかったんだろう…」と笑顔で言ってくれるのも嬉しいものです。治療効果が安定しているので、治療方針は変わらずです。

症状も落ち着いたので、治療間隔空けて治療ペースは患者さんにお任せとします。
来れる時に来ていただきます…ここまで来れば鍼灸院卒業の一歩前です。

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