発狂するかと思うほどのムズムズ脚症状・診療録

発狂するほど…は決して誇張ではない

ショッキングなタイトルですが、この診療録は5年前の症例です。
福岡県北九州市在住 の女性(当時 37才)今回の妊娠が初めてという妊婦さん。

かなり重篤なムズムズ脚症候群に苦しめられていて、身体的な症状はおろか精神的にも追い詰められ、本人さんの言葉では「発狂するほど…」の状態でした。

長期にわたって、そして強い症状が毎日続くムズムズ脚症候群やつわりは精神的に追い詰められます。
発狂するほどの…という表現は決して大げさではなく、顔つきや人格が変わるほどに患者さんを追い詰めてしまうこともしばしばです。

お問合せは次のようなメールから

初めて問い合わせをさせていただきます。
福岡県北九州市在住、37歳の妊婦です。現在妊娠3ヶ月目(11週目と5日)。
むずむず脚症候群に悩まされております。

妊娠6週目頃から発症し、日に日にひどくなり最近は毎日
特に夜から明け方がピークで全く眠りにつけません。
睡眠不足が追い打ちをかけ、昼間の眠気と戦うのも限界に近く、
また夜中の寝付けないストレスに発狂するほどひどいものになってきております。

地元の産婦人科でも「そんな病気初めて聞いた。まあ子供が生まれるまでの我慢です。」と言われ、
また自分でインターネット等で調べてみると、 東京や大阪方面には妊婦のむずむず脚専門の鍼灸治療などもあるようですが、 北九州からは通うことが出来ません。
聞きづてで良かれと思われることはいろいろ試していますが、
和らぐどころかひどくなる一方で、睡眠不足とそれによるストレスとで気が滅入ってしまっています。
1ヶ月以上も熟睡できない期間が続き、ここまで来ると「たった1日でいいから安眠したい」、
ただそれだけを願うばかりです。

と、ムズムズ症状と睡眠不足によりかなり精神的にも追い詰められたご様子。
一日でも早く、少しでも症状を減らしたい…という切実な願いが感じられるメール内容でした。 

お住まいは九州でしたが幸い関西の親戚にお宅に泊めてもらうことができましたので、短期決戦での集中治療を受けていただくことになりました。

結論から書きますと…驚くほど満足のいく効果でした。
その経緯を少し長いですがカルテ形式で紹介します。

初診カルテ・ムズムズ脚症状の治療開始

11月30日午前
主訴:ムズムズ脚症候群

【問診情報】
ムズムズ脚症候群(以下、ムズムズ症状)が初めて発症したのは妊娠6週目(10月初旬)から。
最初は足のだるさ程度だったのが、加速度的に悪化。
腹部から下全体にムズムズ症状。
特に脛(すね)から足首にかけて強い症状。(ふくらはぎと足裏以外)
本人いわく
「何とも説明しがたいですが、痛くも痒くもなく、ものすごくだるい感じ。
 足の骨から大量の何かが外へ出てくるような…
 時々足がピクッと動くくらい勝手に痙攣する時もあります。
 叩いても揉んでも症状は何ら変わりません。」

ムズムズ症状は毎晩、特に夜~明け方、22時から4時。眠れない。
ムズムズ症状が出ると息切れも起こる。

服用しているお薬、トレドミン25mg(1日1錠)

漢方処方では、柴胡竜骨牡蛎湯、苓桂朮甘湯を以前に処方されたが、無効。

鍼灸師の診立て

脈診からわかる情報は…
水毒が多く、とくに下半身に溢れている状態であること。

そして精神的にもかなりの負担がかかっている様子が脈に表れています。

腹診から分かることは、睡眠不足による慢性的な体力低下と、精神面および呼吸器系にも負荷がかかっていることも見受けられます。

これはムズムズ症状から息切れが起こることにも関係しているといえます。
重いムズムズ症状では、息切れや動悸がおこることもしばしば見受けられるのです。
また、症状が激化する時間帯、そして脈診・腹診の情報からも、
血分に熱がこもっている体質であることも考慮に入れる必要があります。

ムズムズ脚症候群の治療方針 

➀安胎と補腎
②血熱を冷まし水毒を除去する 
③経絡をめぐらす


➀の安胎と補腎はムズムズ症状に対して直接的な治療ではありません。
しかし1ヶ月の間、睡眠はとれていないため体力の低下(※東洋医学では睡眠不足などによる体力低下を腎の弱り・腎虚という)が根強いようです。
そのため最初に安胎(※コチラで説明)と腎の力を補充する治療を先に行います。

胎児の安全を確保する目的と、ムズムズ症状への治療を助けるバックアップ的な目的があります。

②水毒はムズムズ症状の原因体質と当院では診ています。

根本的にムズムズ症状の原因を体質レベルで改善するためにも、この水毒除去は治療のカギとなります。

ただし、この方は水毒よりも深いレベルの血分に熱がこもっている体質が影響しています。
この血分の熱を優しく冷ましつつ、水毒を除去する治療を行います。

※血熱を冷ます鍼や水毒の除去の追い出す鍼は個々の体質により異なります。 妊娠初期の方に安易に涼血や利水の鍼をすることはおススメしません。

(脈診腹診問診などに15分、治療時間を50分、内、10分程度の置き鍼を行いました。)

置き鍼の間、ジッと動かずに安静にしてもらうため、 ムズムズ症状が出ることを心配していました。
しかし、治療が終わるまでムズムズ症状が現れることもなく、 むしろウトウトできたようで、とても喜んでいただきました。

2診目カルテ・11月30日午後
午前中の鍼治療した部分にだるい感覚があるものの、ムズムズ症状ではない…とのこと。
午前の治療方針と同じで、かつ効果が長期続くように重ねて治療を行う。

ムズムズ症状が減少・3診目

12月3日
症状の範囲が減少した!

ふくらはぎと足裏以外のすべての場所にムズムズ症状が出ていたが、脛(すね)の下半分に半減した。
初診・2診の日の夜は、3時間ほどだったが、熟睡できたのは本当に久しぶりだった!! とのこと。

症状の改善に表情や声も明るく、鍼灸治療に対するモチベーションも初日よりも上がっているようす。

こうなるとコチラも嬉しいもので、鍼のノリも良くなるものです。

治療方針は初日と同様であるが、使う経絡は足陽明胃経の比率を増やす。
※症状の範囲が足陽明胃経に絞られているためと、水毒の除去に向いているため。

ムズムズ脚症候群、治る・4診目

12月6日
ほぼ完全にムズムズ症状は消失!
症状があった場所に意識を向けると、ほのかに存在感?なごり?が感じられる程度…とのこと。

予想していた以上にあっけなく短期間でムズムズ症状が治ったため、 九州に戻ってムズムズ症状が再発しないか?と心配になるとの訴えが。
本人としては、治療効果が出るのにもっと日数がかかるかと覚悟していただけに、 想定外の心配が出てきた様子。

そこで再発予防のための治療を行い、 かつ、自宅でできるお灸のツボを指導しました。
これまでの4回の治療で体質はかなり改善されているため、 自宅灸や運動・ストレッチも十分効果があることを伝え、安心していただき、治療完了としました。

九州にご帰宅後にいただいたのが次のご感想です。

あれからムズムズ脚症状は…

来院期間中は大変お世話になり、本当にありがとうございました。
あれから一日もむずむず脚症状は出ておりません!!!

スゴイッ!

安心して布団に入れることがこんなに幸せなことだと考えたことは今までなかったです。
ムズムズ脚症候群の症状に睡眠を妨害され続けて、普通の生活を送ることが本当に困難になってしまって、 「もし治るのであれば・・・」 この一心で先生を訪ねました。

それと、先生がおっしゃってくれた「今のむずむず症状が一番のピークだと思う」
この一言が、ものすごく安心できました。

今だから言えることですが、本当は鍼治療がものすごく怖かったんです。。。
でも、少しチクッとするのが最初だけで、痛み(鍼の刺激)は耐えられるものでした。

びっくりしたのは治療が終わって帰宅後、 鍼を刺した部位(私の場合は脚の膝下)を中心に、
ものすごい脱力感で歩くのも違和感を感じるほどでした。
翌朝にはその違和感はなくなっていましたが、小さな鍼が体に及ぼす影響力を実感しました。

2か月近く、むずむず脚症候群で夜まったく眠れず、 症状が出る時は決まって息切れに悩まされ、昼夜問わず憂鬱すぎる毎日でした。 目の下には寝不足によるクマができ、かと言って昼寝で補おうとするとまた脚がむずむず・・・・ 鍼治療をしていただくのは勇気が要りましたが、
もしこの寝不足が解消されるのであれば、どんな痛みでも違和感でも耐える!と覚悟を決めました。
それだけ人間には睡眠がとても重要ということだと思います。

また先生が私の鍼に対する恐怖心を察してくださったのか(?)、
「痛くないですか?」
「大丈夫ですか?」
「(鍼した箇所は)ズキズキしませんでしたか?」等々、
逐一お声掛けしてくださったのも助かりました。
食事で気を付けるべき点なども詳しく説明していただき、本当に感謝の一言です。

北九州から来院を決心して良かったです。
本当は定期的に通院できればもっと効果的なのでしょうが、 距離的に難しいですね。。

『これから先、もしまた脚がむずむずしてきたら・・・』 という不安が一切消えたわけではありませんが、 治療前と明らかに違うのは症状が出た時の“ひどい息切れ”が今のところ全くないのと、
就寝時には「どうせ今日も寝れないし・・」ではなく、
「さあ、寝よ!寝よ!」と前向きに思えること、 気持ちの持ちようとはよく言いますが、 これだけの気持ちの変化で夜寝る時のモヤモヤが一気に吹っ飛びました。
鍼とお灸の治療はもちろん、先生の助言や、 私のむずむず脚症状の辛さに同情・共感して下さった気持ちすべてに心から感謝いたします。
本当に有難うございました!

当院の東洋医学的 ムズムズ脚治療を希望される方は

電話予約はコチラ0721-53-6330

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