大阪大学附属病院

阪大の特任研究員として…

阪大病院の総合診療内科にて鍼治療

院長の足立繁久です。
私は2018年4月から、週に一度、大阪大学付属病院(吹田市)に通っております。大学病院に通うと言っても病気ではありません。阪大附属病院にて鍼灸治療を行うために通っているのです。そのため当院では毎週木曜日(午後)は休診となっております。
大阪大学附属病院
写真:大阪大学医学部附属病院。一階の総合診療内科(写真右下あたり)で漢方鍼灸外来を行っています。

写真:医師スケジュール表に院長(足立繁久)も名が。他のドクターの名は加工して伏せております。

癌と自己免疫疾患に対する鍼治療、その効果は…

阪大附属病院の総合診療内科の漢方鍼灸外来にて、主に癌治療の患者さんや自己免疫疾患の患者さんに鍼治療を行っております。その目的は漢方との併用治療によって、その治療効果を向上させる…というのが狙いです。

写真左:電子カルテを使う経験も良い勉強になりました。写真右:後ろの青い診療ベッドで鍼しています。

実際に鍼治療をしてみて、癌治療の副作用に対する鍼治療の効果は患者さんからも好評で、私自身も手ごたえを感じる程です。
とくに抗癌剤・分子標的薬の副作用や自己免疫性疾患による諸症状を緩和させるのに鍼治療は有効であると私自身も自信がもてるようになったのは大きな収穫でした。

しかし阪大附属病院の総合診療内科の一室にて、鍼治療を行うのですが、「経絡の名前」や「衛気・営気とはね…」など、東洋医学の専門用語を使って症状説明や鍼治療の解説をするのですが、大学病院の一角でその光景が繰り広げられるようすは、なんだか不思議なものがあります。

大学病院で鍼治療するようになった経緯は…

阪大附属病院で鍼治療するようになった経緯は“漢方の勉強会”です。大阪市で月一回開催されていた漢方の勉強会に参加しており、そこで漢方医の先生(萩原特任教授)と知り合い、医局への勧誘を受けたことが大きなきっかけです。

とくに萩原先生(特任教授)の研究領域は、漢方薬の研究(牛車腎気丸とフレイル)だけでなく、癌治療(癌ケトン食療法)やレジリエンスなどと多岐にわたります。さらに萩原先生は鍼灸治療に対する理解も深く、漢方や癌治療に鍼灸を組み入れるべく、私(足立)を勧誘し、臨床試験の機会をいただいたわけです。

所属する医局(講座)は、大阪大学大学院医学系研究科 先進融合医学共同研究講座。この医局(講座)には「特任研究員」として2018年より所属しています。
写真:所属する医局はこの大阪大学・最先端医療イノベーションセンター棟6Fにあります。

この医局(講座)にて「大阪大学医学部附属病院漢方内科における鍼灸治療の有効性と安全性の検討」という研究テーマで臨床研究を行っています。

所属する医局(講座)に関する情報

以下に、先進融合医学共同研究講座のHPに書かれている「研究課題名」をはじめ、関係情報を引用しておきます。

【研究課題名:大阪大学医学部附属病院漢方内科における鍼灸治療の有効性と安全性の検討】
【研究の対象】:2018年4月~当院で鍼灸外来を受けられている方

【研究目的・方法】
大阪大学医学部附属病院漢方内科では2018年4月より週一回、はり師・きゅう師による鍼灸外来を試験的に開始しています。鍼灸治療は、一定の臨床効果を有し、患者のQOLを改善する効果を有すると期待され、頭痛・肩こり・腰痛や冷えなど自覚症状の強い症状の緩和に使用されることが多いですが、現状では、鍼灸治療はあくまで補助的な存在と考えられています。しかし、海外においては、鍼灸治療は米軍医療施設でも行われており、ドイツでは変形性膝関節症患者1007人を対象にしたランダム化比較試験が行われその有効性が報告されています。一方、日常において鍼灸治療が盛んにおこなわれている我が国では、残念ながら、基幹病院で基礎疾患を有する患者における有効性の検討はほとんどありません。そこで、今回我々は、本院漢方内科で行われている鍼灸治療の現状を後ろ向きに検討させて頂き、鍼灸治療の有効性と安全性を検討したいと考えています。

そして「先進融合医学共同研究講座」の説明文も。

超高齢社会を迎えたわが国は、介護・寝たきりの問題や癌患者の増加の問題に直面しています。一方、医療費の伸びは期待できず、これらの問題解決に向けた新たなアプローチが必要とされています。我々は、漢方腎虚概念をヒントに、フレイルを引き起こすサルコペニアや慢性疼痛に対し、牛車腎気丸が効果を示すことを分子生物学的に明らかにし、更なるエビデンス構築や新たな臨床応用を目標に研究を行っています。また、漢方における医食同源の考えを基に、癌ケトン食治療の臨床研究を国内で初めて行い、その臨床効果が高い注目を集めています。我々は、先進医学と伝統医学を融合させた新たな融合医学を構築し、超高齢社会の問題解決を目指します。

とあり、近年社会問題となっている問題、「フレイル」そして「癌治療」に関する研究、そして「レジリエンス」を研究テーマに挙げていることに非常な先見性と大きな意義を感じます。“先進融合医学共同研究講座”という名の通りです。私も鍼灸師として、鍼治療が近代医療に貢献できるよう、しっかりと精進してまいります。

医局【先進融合医学共同研究講座】の外来担当表になります。


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