Category: 当院の鍼灸カルテ

  • 脳出血後の半身まひの鍼灸治療カルテ

    脳出血後の半身まひの鍼灸治療カルテ

    脳内出血後の片麻痺 今回の症例は70歳代の女性の方。 脳内出血の後遺症で右半身麻痺(片麻痺)となってしまった女性の鍼灸治療です。 初診問診で感じた尊敬の念 初めて来院されたのは2020年の8月のこと。今から4年ほど前のことです。 この症状の発端となった脳内出血は2020年春のこと。病院で意識を取り戻したときには右上肢の感覚を失っていたそうです。4カ月間の入院中、感覚が無い上に、さらに右半身全体に痺れが強くなったそうです。 右半身麻痺のほかにも… ・右足裏・右腰背部に重い何かが詰まるような感じで苦しい。 ・足裏は立つとき、歩くときに、皮膚の裏になにか挟まっているような異物感・不快感。 ・右足の指が勝手に動き出す(不随意運動) …という、自分の体なのに、感覚とは全く違い現状に戸惑い不安になっているご様子。 問診中に『この人は偉いな~、強い方だな~…』と思ったことがあります。 このようなツラい状況の中でも、言葉遣いが丁寧で穏やか、お人柄もものすごく柔らかいのです。 よほどの内面が強くないと、このような態度で人と接することは難しいものです。 柔和な表情や言葉づかいで現在の状況を伝えてくれる姿勢に、自然と敬意を覚えたものです。 初診以来、コツコツと通院を継続してくれ、日々に感じられる身体の改善・症状の軽減を伝えてくれました。 東洋医学でみる半身麻痺の体質と治療効果 この方の症状には次のような特徴があります。 ・気温の影響を受けて悪化する ・湿度の影響を受けて悪化する ・症状悪化により精神的な不安を伴う 「精神的な不安が伴う」とは書きましたが、この方には持ち前の“芯の強さ”があります。 一時的な症状悪化に直面しても、そのつど身体症状の変化の理由を丁寧に説明すると、落ち着いて聴いてくださり笑顔を見せてくれました。 もちろん、鍼灸治療でも相応の効果を示しています。 ・鍼灸治療で右半身の重く詰まった感じは軽減する ・頭が詰まった感じも治療後はとれる ・右半身全体の強ばりもゆるむ 以上の変化を実感しているからこそ、コツコツと通院してくださっているのだと思います。 鍼灸師のためのワンポイント情報 この方の病態を次のようにとらえています。 麻痺により、右半身における氣血の巡りが極端に低下。 そのため右半身全体の陽虚が顕著となり、湿痰の蓄積、外寒・外湿の影響を受けやすい状態となっている。 また寒邪は体を強ばらせ、湿邪は重く滞る性質をもつ。この寒湿のため、体が強ばり重く動作困難となり、半身麻痺が悪化したように感じる。 しかし、鍼灸治療で陽気を巡らせ、寒湿を取り除くことで、身体は柔らかさを取り戻し、重さは減り、動きやすくなる。 大きな治療方針としては、補気補血に祛湿行氣を加える。 陰経に補血(足太陰が主)、陽経に行気(手足陽明少陽が主)。 祛湿には主に陽明胃経を使います。 背部では右側の胆脾胃三焦兪に湿邪留滞の膨隆が見られるため、その部位を中心に祛湿・行気を鍼灸にて行います。 しかし、鍼治療後は心身ともに軽くなるのですが、日数を空けると症状が戻ってくる…といった状態が続いたのも事実です。 それでもこの方は私の治療を信じて通ってくれています。その姿を見るたびに『もっと良くなるように鍼をお灸を!』と思ったものです。 心動かされた言葉! 最も直近で心を動かされたのは、2024年の最初の治療のときでした。 今年初の会話が「先生、わたし箱根駅伝をみて感動しました。私もマラソンできるように走れるようになりたいです!」との言葉でした。 昔のようには歩けない状態で「走れるようになりたい」という言葉は、普通の人からすると「なにを無理なことを…」「まずはちゃんと歩けるようになってからね」などと思うかもしれません。 でもそのとき私はN山さんの言葉に素直に感動したのです。 『嗚呼、この人はまだまだ諦めずに上を目指しているんだな~』 『さらに良くなる時がくるぞ』と。 なので、素直に応援できましたね。 「N山さん、走ろうと思ったら、足の回復だけじゃない。腕の振りも大事です。今日から腕も振ってみようか!」と、上の目標に向けて盛り上がったことを今でも覚えています。 大きく変化をみせたのは2024年の春 そんな中、この春に大きな変化がありました。 2024年、4月某日の治療で私の顔を見るなり 「先生、私の脚が軽いんです!」と明るい声で報告してくれたのです。 にわかに信じられなかったのですが、運動困難であった右下肢をひょいひょいと挙げて見せてくれるのです。 「もう右脚が先に先にと動くんで、左脚がビックリするくらいです」と、コロコロ笑う姿に、私の方が癒される思いでした。…

  • 吐き気を伴う眩暈(めまい)の鍼灸カルテ

    吐き気を伴う眩暈(めまい)の鍼灸カルテ

    この春に多い?眩暈(めまい) 先日、眩暈の鍼灸カルテを紹介しました。この春は例年よりも体調を崩される方が多く感じます。その中でも眩暈は多くみられる症状のように感じています。 そんな中、今度はわたしの母親(同居中)が突然に眩暈(めまい)を発症しました。もちろん、すぐさま鍼灸で対応したわけですが、そのときの鍼灸カルテを紹介します。 実は私の母は眩暈(めまい)を起こしやすい体質を持っているため、私が大阪に帰ってきた時分は何度も眩暈(めまい)を起こしていました。いわゆるメニエール病の診断を受けていたようです。 最も記憶に残る眩暈(めまい)では、兄の結婚式当日の朝に眩暈を起こしたこともありました。すぐさま応急処置的に鍼して、その日は無事に事なきを終えましたが…(おそらく、母本人はそのことを忘れているハズ) それからも繰り返し眩暈を起こし、そのたびに鍼とお灸で対処してきました。そのせいか、この10数年は母が眩暈(めまい)を起こすこともなくなり、私にとっても眩暈(めまい)は得意な疾患の一つとなっています。  さて眩暈の鍼灸カルテといきましょう。 鍼灸カルテ・眩暈 2024.04 主訴:めまい 発症時刻は4月3日 AM6:00くらい 朝起きるなり、突然の眩暈(めまい)に襲われた。 また、眩暈とともに吐き気を伴う。寝返りしても眩暈が起こるので、ただただ目を閉じて、布団の中でジッとする。(目を閉じても眩暈・吐き気はしばらく続く) 眩暈がおさまるまで目を閉じて床に臥せる…のイラスト 父からの報告を受け、家庭内往診。すぐに寝床にて治療を始めます。まずは脈を診ます ◇脈診情報 沈んだ脈で極めて弱い脈 また、その弱い脈の中にも小さな滑脈がみられる。 そして意外なことに、脈位(寸関尺)の差異はみられない。 症状の特徴、脈診情報、そして普段の母の体質から…次のような治療方針をたてます。 ◇治療方針 ①…中氣を補い、膈を開く(補中・利膈) ②補脾胃によって①を補助。かつ利水祛湿 ③宿(腎虚)に対する補裏気および納氣 治療はお灸からはじめ、次に鍼治療です。 使用した経穴は、中脘・関元・鳩尾・足三里・陰陵泉・太谿……など(他は門外秘)です。 この治療によって寝返りが可能となります。 眩暈(めまい)に対する鍼灸は、このように効果がすぐに現れるケースがしばしばあります(もちろん個人差・体質差はあります)。眩暈のように「突然に発症し、何をしてもツラい…!!状態を速やかに解除できる」というのは鍼灸ならではの長所だと思います。 寝返りができるようになったので、次は伏臥位(うつ伏せ)にて背部治療を加えて、さらに症状の軽減を狙います。 一連の治療によって、起床可能・起き上がることもできるようになりました。 とはいっても、しばらくは要安静であること。そして排尿頻度が増えることを伝えておきます(利水の治療をしたので、尿の回数が増えるのです)。 2診目は二日後の4月5日 (※4/4は大学病院勤務の日で、半日は留守にしていたのです…と言い訳) 主訴:眩暈(めまい)はほぼ消失。フワフワ感じが少し残るくらい。 経過は良好のようで、軽い食事も摂れている。 起き上がり、二階まで歩いて上るなど、屋内や近所までの近距離歩行なら問題ないとのこと。 また初診の鍼治療の後は、やはり尿がよく出たとのこと。 ◇脈診情報 全体的に沈んだ脈は変わらずだが、緩脈が入ってきて、滑脈もみられる。 両関上脈は弱脈が残る(左<右) 寸口脈にも弱脈が残る。 関上と尺中の一部に緩脈がみられる この脈診の情報が、初診時と2診目で大きく変化している点がポイントなのです。 脈診所見は初診時と大きく変化しているとはいえ、これは良い変化であり、想定内のこと。ですので、治療方針は前回と同じでいきます。 一連の治療によって、フワフワ感も消失。 眼の力も増し、目に輝きが出る。 (いわゆる目ヂカラです。この目の力の有る無しって意外と大事な所見です) 治療後の脈診所見は、母の通常脈に戻る。 以上をもって、眩暈の急性期を脱したとみなし、通常の養生期に入ります。普段から親孝行の鍼お灸をしなさい!ということでしょうね。 院長 足立繁久

  • 眩暈(めまい・頭重感)の鍼灸カルテ

    眩暈(めまい・頭重感)の鍼灸カルテ

    春に多くみられる眩暈(めまい) 今年の春は眩暈(めまい)を訴える患者さんが多いように感じます。 春季は五行でいうと「木」に属します。また五臓では「肝」に相当します。そして「木」とは「伸びる」「上昇する」といった性質を持ちます。 イラスト:五行の木・火・土・金・水 そのため「春」になると、冬の間に沈滞していた気を一気に上昇させて、春の陽気を活性化させるのです。人体の臓腑では「肝・胆」という器官に属しますが、やはり「上昇」させる性質を持ちます。 この「上昇」が一気に起こることで「眩暈(めまい)」の他にも「頭痛」「目痛」「耳鳴り」などの上部における体調不良がみられるのです。 気候の変化も不安定となる春先、それに影響を受けて人体のコンディションも不安定となるのです。いわゆる季節の変わり目にみられる体調不良・不定愁訴です。病院によっては“自律神経失調症”と診断を受けることもあります。 先日(3月下旬)にも、めまいを訴える女性(70歳)が来院されました。東洋医学ではどのように診断して治療するか?当院の眩暈の鍼灸カルテを紹介しましょう。 眩暈の鍼灸カルテ 主訴:フラフラ・フワフワするタイプのめまい 他にも頭目がボ~ッとする。頭重感。眼の奥が痛い…などの随伴症状もある。 めまいの発症は、朝10時すぎ。鏡を見ると、上眼瞼(まぶた)が脹れぼったい。 それが気になり、眼をゴシゴシこするうち、頭全体にも重くなり、フラフラ・フワフワめまいが始まったとのこと。 「体調が悪い時は足を温めたらよい」と聞いたことがあったので 両足を温めたところ…上半身全体がゾワゾワ~と薄ら寒いような感覚(悪寒ほどではない)が、上へ上へと昇ってきたとのこと。 「こんな気持ちの悪い感覚は病院で言っても伝わらないと思い、足立先生のところに来ました」とのこと。この言葉に気を良くして、早速診察に入ります。 東洋医学の診たてでは… 当院では東洋医学的な診断を行いますので、脈診や腹診で病気の性質を見極めます。 写真:当院でおこなう脈診 さてこの女性の脈はどのような脈かというと… 全体に沈んで緩脈が目立ちます。しかし所々に濇脈や滑脈といった特徴的な脈状が現れています。 脈診で得られた情報は、主に湿邪(いわゆる水毒)に関わるものです。どうやらこの眩暈は湿邪が主となり発症したようです。では、この眩暈は「木」や「肝」とは関係ないのか?というと、そうではありません。 問診情報の中に「木」に関する情報がちりばめられています。 脈診と問診を総合的に分析(合参)して、治療方針を導き出します。この女性の眩暈に対する治療方針は次の3つ。 ①中気を補い、膈を開く(補中・利膈) ②脾経・胃経に鍼することで、①の補助をを行いつつ、胃の停滞を解消 ③上部の気をめぐらしつつ、下部に気を引き下ろす。 脾・胃・腎に関わる経穴に鍼治療・お灸をすることで、利水を促します。この利水によってめまい症状の主犯である湿邪を取り除くことが大きな狙いです。 使用した経穴のいくつかを挙げると…〔中脘・足三里・陰陵泉・太谿…(他は門外秘)〕など。これらの経穴はよく知られる経穴です。 もちろん、うつ伏せになり背部経穴へも鍼・お灸を行います。 背中にはり治療を受ける女性のイラスト ひと通りの治療を終え、脈診でチェックします。 すると…問題視していた緩脈・滑脈・濇脈がとれて、全体に張りのある伸びやかな脈状に回復しています。 実際の体調を確認しても、めまい・眼の痛み・頭重感もとれたとのこと。 気分的にもずいぶんとスッキリしたようすで、視界も明るくなったといってくれます。 念のために来週も治療にきます!と言って、満足げに帰宅されました。 2診目の問診で聞くと、あれから眩暈が起こることもなく、胃のムカムカが少し残る程度のコンディションとのこと。 もちろん、湿邪の停滞はしっかり確認できたので、根本的な体質改善ということで2診目の治療もキッチリと鍼お灸をしておきました。 以上、この春に多くみられた眩暈(めまい)の鍼灸カルテの一つを紹介させていただきました。 院長 足立繁久

  • 双子の妊婦さんへのプレママ鍼灸 診療録

    双子の妊婦さんへのプレママ鍼灸 診療録

    先日、無事に双子の出産を終えた方が安産の報告に来てくださいました。私は治療の最中だったため、残念ながら対面できず…(残念!!)。 この方(Kさん)が来院されたのは妊娠中期(18週)のとき 「多胎妊娠のため体調ケアが必要」 「上に1才10ヶ月の子どもがいるため、早期入院は避けたい」 「なによりできる限りの安産の準備をしておきたい」 とのこと。 すでに当院の治療開始時で ✓ つわり(吐き気) ✓ 身体の重さ ✓ お腹の張り ✓ 腰痛 ✓ 冷え などの諸症状が出ていました。 また「お腹の張り」「腰痛」などはこれから一気にお腹が大きくなりますので、今のうちに軽減させておく必要があります。 当時のカルテを見なおすと、二診目のときに鍼治療の感想として… 「治療後はスッキリして体も軽くなり、スタスタ歩いて家まで帰れた。」 「その姿に家族もビックリ。」 「ムカムカも治まっている!」 と、Kさんの驚きを表わす言葉が残っています。 このときに当院のプレママ鍼灸の効果を実感していただけたのでしょう。コツコツと通院してました。 多胎妊娠ともなると、母体にかかる負担も倍以上となります。またKさんは上の子の育児もあるため、その疲労や負担は相当なものと考える必要があります。 ですので、コツコツと定期的に通院くださるのは、治療する側としても本当にありがたいのです。 そのおかげもあって、結果的に2人とも自然分娩で済んだのは心からホッとしました。 なによりも38wkまで入院せずに済み、ギリギリまで上のお子さんとも一緒にいることができたと言ってくれたのも嬉しかったですね。 (もちろん、母子保健センターに定期的に検診通院していましたよ。) もちろん、途中には双子の子のうち一人の“発育不良”、二人とも“逆子”などの悩みもありましたが、それらの問題にも東洋医学的なプレママ鍼灸でサポートし続け、なんとか無事に経腟分娩でお産を乗り越えることができました。 なにより当院でのプレママ鍼灸ケア最終日は忘れらないものがあります。 Kさん「今回の妊娠ではこんなに元気ですごせたのは先生たちのおかげです。」 私たち「そう言っていただき、ありがとうございます」「無事のお産を祈ってますね。」 と、こんな言葉を交わして当院を出ていくときのKさんの姿は今でも思い出すことができます。お互いにウルッときてましたから。 その後、お電話にて2人のお子さんともに経腟分娩で行うことができました。との嬉しいご報告をいただいたのは何よりもうれしかったですね。

  • NICUで“希望の星”と呼ばれた子

    NICUで“希望の星”と呼ばれた子

    【NICUで“希望の星”と呼ばれた子】 産まれました!のご報告をいただきお祝いに訪問した時に記念撮影。 (2019年12月末に撮影) この時の実際年齢はちょうど生後0日だそうです。 『なぜ生後0日なのか?』その理由は…続きを読んでみてください。 お見舞いに訪問した時に聞いた話が、NICUで「希望の星」と呼ばれていたとのこと。 この子のお母さんは2年ほど前「びまん性平滑筋腫症」の診断を受けました。 この「びまん性平滑筋腫症」は、やっかいなことに治療法は満足に確立されておらず、参考となる症例もかなり少ないとのこと。 病態としては、子宮筋層にびまん性に腫瘍組織が増殖した状態。 分かりやすく言いますと、子宮筋層深くに部分切除できない位あちこちに癌が多発している状態。 そのため、病院側の治療方針としては子宮全摘出。 しかし結婚3〜4年目で新居に引越したばかり…そんな希望に満ちたご夫婦にとっては信じたくない診断だったと思います。 そして新婚のご夫婦となれば「お子さんを授かること」も大切な希望の一つ。 しかし治療法が確立されていないため「癌を治したい」とは言葉にできない…。 かといって「妊娠をしたい」という希望の言葉も口にできない…。当院に来られたときはちょうどそんな状態でした。 病院では十二分に説明を受け、ネットでも散々に調べ尽くしたと言ってました。 「子宮全摘」「確実な治療法はない」 しかも「妊娠したら、その場合は子宮の腫瘍組織はどうなるわからない」とのこと…。 それ等をすべて承知の上で『東洋医学でなんとかなるなら…』と、言葉にできない望みをかけて来られたのだと察します。 実際の当院での治療を簡単に紹介しますと… 鍼は使えずなかったので(毫鍼は苦手とのこと)台座灸メインの打鍼で治療しました。 主に肝胆経を疎通させ、それに駆邪(水血)を加味する治療方針が多用しました。 初期の頃は、伏寒の邪が強かったことも印象的です。 この方の全身状態は悪くなかったものの、腫瘍組織が徐々に大きくなるにつれ、その圧迫いよる腰腹の張痛、下肢の痺痛が後期の頃は目立っていました。 しかし、これらの症状っは上記の鍼灸治療で対処可能でした。 当院で鍼灸治療を始めて半年過ぎた頃にめでたく妊娠!!! とはいえ、この頃も妊娠が判明しても「おめでとうございます」とはまだ言えなかった…。 出産まで無事に妊娠継続できるのか? 無事に妊娠継続できたとして子宮筋層の腫瘍は成長せずに維持できるか? 転移の可能性は? そして無事にお産にこぎつけたとしても、子宮全摘は決定的 …などの条件を私もこの方もお互いに胸にしまいつつ、とにかく明確な言葉はできないながらも、未来に向かって進んでいったことが思い出されます。 そして、なにより旦那さんのツラく葛藤するお気持ちはいか程であったでしょう。私の想像をはるかに超えていたのだと察します。 幸いにして妊娠中の経過は至って順調。 順調に入院して後、2019年の年末に帝切にて無事出産となりました。 (2019年12月末に撮影、希望の星の子のお手て。愛らしい…) ただ一つ問題だったのが、 手術前に自己輸血のために採血する予定だったのが、うまくいかず(原因は何だったか忘れてしまいました…) オペ内容は、帝切にて胎児のとり上げ&子宮全摘…諸々の複合オペ。 担当医の先生としては、冷や汗・油汗ものだったと思います。 オペ後報告では、腫瘍組織が子宮外への癒着ギリギリだった(その差、1,2ミリで危なかった!)とのこと。 もし腫瘍組織が子宮体外に出てしまうと大出血はもちろん、出血性ショックを起こし、最悪の場合…という危険がリアルに予想された状態だったとのこと。 (旦那さんには覚悟しておいてくださいとの事前告知もされていたとのこと) しかし、何はともあれ ①「びまん性平滑筋腫症」の判明後に妊娠、無事出産 ②術後に判明した病態もギリギリセーフ ③NICUでも特に問題を起こすことなく (予定日よりも2ヶ月くらい早い誕生だった) …と、ダブル・トリプルで奇跡的な条件をクリアした赤ちゃん!なので「希望の星」と呼ばれたとのこと。 担当医の先生は「必ず論文にします」と言ってくれたとのこと(この論文をみて同じような方の希望になれば…とこの方も望んでおられます)。 その論文に“鍼灸”の文字は載らないでしょうけど、もちろんこの奇跡に鍼灸が貢献しました!!なんてアピールするつもりはないけど(笑) 長年、鍼灸治療に携わっているとアンビリーバボーと言われるような症例に関わる機会って意外とあるものです。 やみくもに鍼灸を盲信するのはお勧めしないけど、鍼灸には医療に貢献できる余地がまだまだあるということは、鍼灸師の方々には知っていて希望を持っていて欲しいと思う次第です。

  • つわりとムズムズ脚症候群のダブル治療

    つわりとムズムズ脚症候群のダブル治療

    今回のマタニティ鍼灸カルテは妊娠12週目の方。 吐き気を主訴としてご来院されました。 実際に来られていろいろとお話を伺ってみると、今回の妊娠は4回目。 過去の妊娠・出産では毎回なんらかのマイナートラブルがあったそうです。 ひと通りの問診終えた時に思ったのが、『こりゃ一筋縄ではいかないな』と。 主訴は「吐き気」を主としたつわりなのですが、どうやらそれは表面上の症状のようで・・・ 妊娠期のマイナートラブルいろいろ 初診時のマイナートラブル各症状 ・吐きつわり・食べつわり、2つのつわり症状あり。 ・食後の胃の詰まり感も強い。 ・便秘あり ・むくみ(浮腫)あり ・仕事は忙しく朝から夕方まで動き回っている  毎日体力の限界まで頑張っているようす ・ムズムズ脚症候群の症状も強く見られる  主に足首とふくらはぎの周辺 どうやら“つわり”と“ムズムズ脚症候群”のW症状のようです。 これは湿痰・水毒の処置に力を入れるべき体質のようです。 鍼灸師のための☝point情報 つわり・ムズムズ脚症候群の体質として、両疾患ともに水毒(すいどく)湿痰(しったん)が関わるとみています。 しかし、湿痰・水毒を生み出す原因には、食生活や運動、排便排尿など生活習慣が深く関与します。 この生活習慣を変えるということは難しいことが多く、対処療法的な処置に終わってしまうことが…。 この方の鍼灸ケア第1回目は「①安胎・②体力補給・③水毒除去」といった優先順位で行いました。 しかし治療の割合としては「安胎10%、体力補給70%・水毒除去20%」 特に日々忙しく走り回っている様子が非常に気になり、体力補給の鍼とお灸は必須と判断しました。 4人のお子さまを抱え、朝から晩まで毎日のお仕事。 家事・育児・仕事、さらに妊娠…と通常の4倍は消耗していると言えます。 つわり・ムズムズ脚症候群の症状は、水毒除去によっていくぶん軽くなる予定です。 とはいえ、今回の主となる治療方針は体力補給なので、その旨をお伝えし、 自宅灸のツボについてもアドバイスをして初診終了としました。 2診目・・ 気になる初診の結果は・・・ 「つわりがかなり減りました!」とのこと。 「吐き気は減り、あれから嘔吐は無く、胃の重さ・詰まりも取れて、久しぶりに爽快な気になれました!」と嬉しいコメント。 疲労を主な治療ターゲットとし、体力補給を7割にした鍼灸ケアの組み立てで、 そこまでつわり改善の結果が見られるということは、「やはり疲労の影響が強いんですよ…」とアドバイスをさせていただきました。 少しでもペースを落としてくれればいいのですが…現実はそうはいきませんよね…。 とはいえ、鍼灸2診目も同様の治療配分で終了としました。 ムズムズ脚もラクになりました! 3診目の問診では以下のようなコメントをいただきました。 「つわりはもう気になりません」 「ムズムズ脚(の症状)もシールの鍼を貼ってもらうと全然気にならない!」 「今までの妊娠生活い比べてダントツで動けます(笑)」 と、嬉しくも快調すぎて心配になるコメントをいただきました。 心配していた日々のガンバリによる疲労や ※「シールの鍼」とはパイオネックスという鍼。 下写真のように、シール状になっていて中央に鍼状の刺激箇所があります。 写真:セイリン(SEIRIN)社製 パイオネックス(PYONEX)の写真 下のようにツボに貼ります。 ツボは反応が最も強い点を見極めて貼りますので、専門の鍼灸院でパイオネックスを貼ってもらうことをお勧めします。 鍼状の部分は長さが1㎜以下なので、痛くありません。 シール・カラーは肌色に近く、見た目もほとんど気になりません。 足三里にパイオネックス。 足三里は消化器系の働きを助け、水毒減少の助けになるツボです。…

  • ベトナムからつわり治療に

    ベトナムからつわり治療に

    今回のよだれつわりの診療録はベトナムにお住まいの妊婦さん。 一時帰国の期間中に当院のつわり鍼灸ケアを集中的に受けたいとのご依頼です。 🇻🇳ベトナムからのメール 現在 妊娠8週目になりますが、よだれつわりに悩んでいます。 ただ今ベトナムに住んでまして、9/21に一時帰国がありその時にお世話になりたいと思います。 10日間ほど大阪に滞在しますので短期集中で治療を受けたいと思っています。 (よだれつわりの)症状は妊娠6週頃から始まり、 日中はもちろん夜中もよだれを吐かないと気持ち悪く、 ゆっくり寝ることもできません。 前回の妊娠時も初期から出産するまでよだれつわりに苦しみました。 現在吐き気はあるものの食事は少量ですがとれてます。 こちらハノイで鍼灸院に通ってみておりますが、 3回の治療を受けて現在のところまだ効果は実感できてません。 毎回あちこち場所を変えて試してくれますが、 (改善しないよだれつわりの症状に)不思議そうです。 なんとか少しでもマシになりたいと思うのですが…。 自分で出来るセルフケア方法や、ハノイの鍼灸の先生に伝えられるヒント等ありましたらお教えいただけないでしょうか? というメールにてのご依頼(途中部分的に省略)。 異国での体調不良、しかも慢性的かつ周囲に理解されない症状はつらいですね・・・。 改善しない症状に対しての「不思議そうです」というメッセージからも想像するばかりです。 さて、帰国、ご来院されるまでに何度かメールでやり取りし、 日本に滞在する期間の治療プランも組み上げました。 治療日数は7回とし、通院可能な日は極力通院してくださることになりました。 海外や遠方からの通院される方には短期集中治療コースがあります。(詳しくはコチラ) また、ベトナムで通っていた鍼灸院への通院も継続してもらいました。 (少しでも早くよだれつわりの症状を改善できるのなら、それが一番です) また、少しでも症状の改善や変化がみられるなら、 当院で鍼灸ケアを行う際のヒントにもなりますからね。 ということで、初診です。 初診の印象は…ずいぶんと疲れている… 初めて脈をみたときの手ごたえは『疲れているなー、しかも脾胃が…(※)』という感想。 他の所見として以下の通りです ・よだれのタイプにはネバネバ・サラサラ・アワアワの3パターン。 ・よだれは起きている間一定量出続け、時間や湿度による増減はない。 ・後鼻漏の症状あり。 ・ノドの詰まり感あり。 ・便秘は1~2週間に1回 ・食べられる物は増えつつあるが、まだ吐き気は健在。 ・水は受け付けず、炭酸飲料(有糖)なら飲める ・ベトナムにいた時は六君子湯を飲んでいた といった状態です。 ※脾胃とは、東洋医学でいう消化器系の機能を言います。 つわり症状で苦しんきた既往歴があるので、 脾胃=消化器系が弱っていることは不思議なことではありません。 しかし、これまでベトナムの鍼灸院で治療を受けてきたということから、 もう少し脾胃の底力が保持されていて欲しかったのです。 (欲ばりですね…) と言いますのも、つわりケアには何段階かの工程が必要です。 と、ここでおなじみ「鍼灸師のためのワンポイント情報」ですが、一般の方にもわかりやすいと思います。 ちょっと目を通してみてください。 鍼灸師のための☝point情報 つわり鍼灸治療に必要な工程 1、安胎 2、脾胃のたて直し…

  • 夫が腰痛で立てません…

    夫が腰痛で立てません…

    立ち上がることができません!のお電話 つわりの治療で通院されている女性から「夫が腰痛で立てません!」と、ご夫婦での鍼灸をご希望されました。 当院はプレママ&ママサポート鍼灸院の看板は出していますが、パパさんの治療やおばあちゃん・おじいちゃんの治療を依頼されることも多いです。 その結果、親子三代の皆さんを治療するファミリー・サポート鍼灸院になっています。 「たいていの症状は治療しています」というのが現状ですね。 急性腰痛の治療 さてこの男性、奥さまの付き添いで慎重な足取りでご来院。その動作から痛みの強さがうかがえます。 聴けば、腰痛は過去に何度か経験されており、その時も鍼を受けて難を逃れたとのこと。いざという時に鍼治療を選択していただけるのは嬉しいですね。 さて、今回はこの場所に痛みが強いようす。(下図参照のこと) 実際に触れると、かなり細い筋(すじ)がいくつかゴリゴリと指先に触れることができます。ツボ(経穴)でいうと大腸兪のエリアですね。 鍼灸師のための☝point情報     この経穴はこの症例パターンの他に、足元の冷えからも影響を受けやすい部位です。 これを経穴の虚実でいうと、筋・硬結=実の反応ですが、健全な組織との分離している部分が虚なのです。 治療では、この虚と実をつなぐような鍼をします。 鍼を効かせた後の効果を確認すると… 実際に大腸兪を中心に数本の鍼を行い、鍼を効かせた後に…おもむろに起き上ってもらいます。 治療する前まで、痛みのためにできなかった動作(歩く・かがむ・仰臥位から起き上がる…など)をしてもらって痛みの確認をしてもらうと… 「あっ…痛くない!」とひと言。 イラストは痛みが無くなった!のイメージ図 この素朴な患者さんのつぶやきが、嬉しくもホッとする瞬間です。 とはいえ、これで治療終了とするのも、まだ安心できないので、もうひと治療です。 痛み再発防止の鍼治療 「痛がなくなったとはいえ、まだ違和感などが残っている所があるはずです。」 「どの辺りに違和感が残っていますか?」 と聞いてみると、腰を前後・左右に確認…。 すると、背骨(腰椎)すぐそばの右の筋に少し違和感が残る…とのこと。 痛みの治療としてはほぼ終えていますが、痛み再発防止の鍼。 また、日々のお疲れも強い様子ですので、 後半の治療では「腰痛再発予防」と「お疲れを癒す治療」の2本立て。 蓄積した疲労をほどく鍼治療 腰から背中のツボにかけて置鍼です。 その間、寝息を立ててのウトウトされるパパさん。 鍼灸で体を緩めると、痛みが緩和されることはもちろん、心身の緊張がゆるみます。 緊張がとけるとホッとして、ウトウト眠くなるといった変化があらわれます。当院の治療中にはスヤスヤ眠る方も少なくありません。 鍼灸で硬くなってしまった筋肉を緩めるということは、「痛みを緩める効果」に加えて、「痛み・症状の再発予防」につながります。 体の緊張を解くことで、蓄積していた疲労が浮き彫りになりますので、治療中にウトウト・スヤスヤすることで、相当のリフレッシュになるのです。 この方の場合、まさにそれ。 治療前は、腰をおさえて痛みを我慢し、横たわるのも起き上がるのもソロリソロリとコワゴワとしていましたが、治療後半には、寝息を立てて熟睡。この時点で、腰痛の存在はすっかり忘れられていたことでしょう。 今回の腰痛は痛みはひどかったですが、病態の質は比較的シンプルなものだったので、この一回の治療で終了。 もしもまた腰痛が出たときはまたご来院ください、ということをお伝えして笑顔で帰っていただきました。

  • よだれが止まり、嬉しくて電話しました!

    よだれが止まり、嬉しくて電話しました!

    よだれが朝から晩まで止まらない… よだれつわりの症状に耐えかねて当院に受診された妊婦さん、当時14週の方の鍼灸カルテです。 よだれつわりの症状と脈診腹診所見 2回目の妊娠、よだれつわりは初めて。 5,6週目から水分が摂れず入院、点滴を始めた頃からよだれつわりが始まる。 後鼻漏もあり、痰・鼻水も気になる。 脈診と腹診の所見・・・全体に虚(きょ)の反応が多い。 水分が摂れず入院したほどの経験があるので、このような所見が現れるのも無理はありません。  ※虚(きょ)とは“体質的な弱りや疲れ”の程度が強い状態を言います。   鍼灸師のための☝point情報 つわりの原因体質は基本的に水毒(すいどく)湿痰(しったん)です。 つわりを根本的に治すにはこの水毒・湿痰を取り除く必要があります。 鍼治療でいうと瀉法になります。 しかし妊娠初期の方に瀉法を主軸にした鍼をするのは不安な面もあります。 そこでしっかりと体の元気をたて直す必要があります。 いわゆる先補後瀉という治療方針ですね。 初診の治療と帰宅後のアドバイス 体質的な弱りやお疲れの面が強いため、その回復が必要です。 初診では体力回復の鍼を行うことで、母体と胎児の安全を確保します。 これを安胎(あんたい)効果といいます。 つわり治療をメインにするのは残念ながら次回になります。 少しでも早くつわり治療に入れるよう、自宅灸のツボをお伝えして初診終了としました。 2診目・・ 気になる初診の結果は・・・ 「よだれ症状は変わらず続いている…」とのこと。 初診時の治療方針からすると予測できる結果なのですが… 残念そうな表情をみると、少しでも早く結果を出したいと思うのが治療家の心情です。 そこで2診目からは治療方針を“水毒を減らす鍼”を治療の中心とします。 体質的な弱りはまだ少し残っていますが、自宅でのお灸ケアを続けていただくようお願いして、つわり治療を本格スタートです。 つわり治療と安胎治療の違いは、使うツボ(経穴)や、鍼刺激の強さが違います。少しづつ鍼の刺激を増やし、使うツボの組み合わせを変えてつわり治療を行います。 よだれが止まり、嬉しくて思わず… 治療方針を変えた2診目の翌朝、当院に電話がかかってきました。 「昨日の鍼の後、よだれが止まっていることに気づきました!」 「うれしくて思わず電話してしまいました!」 「よだれつわりの治療って本当に効くんですね(笑)」 と、こちらも嬉しくなるコメントをいただきました。 3診・よだれ症状は一進一退 喜びのお電話をいただいてから1週間…。 あのまま治って欲しいところでしたが、あの感動に反してよだれ症状は一進一退を繰り返していました。 よだれの量は減っているのですが、一旦減ってまた少し増えた…という症状の揺り戻しの状態です。 希望が見えただけに、精神的にガッカリ感が大きいのでしょう。 よだれ症状を減らすためにもう一つアクションが必要だと感じ、食生活を変えてもらうことにしました。 甘いもの断ち。つまり、甘い物の飲食をストップします。 水毒(すいどく)体質は、甘いものを摂取することで増えます。 しかし「つわりがひどいと果汁やジュースなどしか摂れない…」 そんな状況がよく見受けられます。 ですから、鍼治療で一旦 つわり症状を軽減させ、食べられる食品のレパートリーを増やしておくのです。 3診目のつわり鍼灸は、水毒除去をさらに強めて、甘いもの断ちの目標を立てて終了としました。 4診目・甘いもの断ちの効果が… 予定通りよだれつわりは減少しました。後鼻漏の症状・痰・鼻水のお悩みも解除されています。 よだれ症状は完全に無くなったわけではありませんが、 「よだれを吐き出さなくて済むようになりました。」 「(唾液を)飲み込んでも気持ち悪くないです。」…

  • 台風の日に激しい頭痛

    台風の日に激しい頭痛

    仕事中に激しい頭痛に襲われ・・・ 40代半ば、働く二児のお母さんの症状です。 主訴は仕事中に突然発症した頭痛・めまい そして目の奥の痛み・吐き気で目も開けられず・・・という状態。 先日の台風の日の午後、仕事中に激しい頭痛に急に襲われ、慌てて頭痛薬を飲むも一向に痛みは治まらず…。 仕事を早めに切り上げ帰宅、一夜あけても頭痛が治まらない状態だったので、週末の当院に鍼灸コールです。 台風による気圧や湿度の影響、この環境の変化によって症状が左右されるのも自律神経失調症の特徴といえます。 診察すると、脈もツボも全体的に体の上部に気が上っている状態。 これは神経が亢進しすぎた状態といえばイメージしやすいでしょうか。 体が過剰緊張の状態からスイッチ・オフにできない状態が連日続いている状態と言えます。 戦闘モードが解除されない状態が続いている…と言い換えてもよいでしょう。 このことを伝えると思い当たる節もあったようです。 ということでさっそく鍼灸スタートです。 鍼灸師のための☝point情報 連日の戦闘モードとはいえ、この状態はその背後に半端ない疲労も隠れているのが常のことです。 ですので、戦闘モード(体の過剰緊張)を緩めることと、体の体力を補充することを同時進行で行う必要があります。 いわゆる先補後瀉(せんぽこうしゃ)を採用すべき…と思うところですが、この方の場合は先に緊張を解除し、その後に補う“先瀉後補”を採りました。 前半30分の鍼灸ケアで症状は… 前半はあお向けの状態で手足のツボに鍼。 後半はうつ伏せの状態で背中のツボに鍼をしました。 治療イメージとしては、手足のツボで頭・首・肩の緊張を緩めやすい状況を作ります。 というのも症状の中でも、頭痛・目の痛みが特にひどい状態でした。このような状況では頭痛や眼痛のツボに鍼をしても、効果が現れにくいことが多いです。 症状を速やかに解除するには、鍼が効きやすい状況を作る必要があります。それが手足のツボに鍼をすることです。 この前半の治療だけでも頭痛の範囲は減り、前頭部の痛みに限定されています。 後半の治療はうつ伏せの状態で、主に背中・後頭部に鍼をして治療完了です。 治療が終了した時点で、頭痛・めまい・眼の痛み・吐き気といった症状はクリアしています。 しかし、まだ不穏な雰囲気は残っています。週明けお仕事の再開に向け、翌日にもう一度 鍼灸ケアです。 2診目で治療完了! 翌日のご来院、前日に鍼した後のコンディションを聞くと、夕方に頭痛・眼痛が再燃したそうです。 めまいを伴うまではいかなかったようですが…まだ体質的に安定しきっていないことがうかがえます。 2診目の鍼灸では、特に頭痛と眼痛を散らす鍼を重点的に行いました。 攅竹(さんちく)申脈(しんみゃく)と風池(ふうち)丘墟(きゅうきょ)のツボがよく働いてくれました。 申脈に鍼しているところ。申脈は頭痛だけでなく、頸肩部の痛み、腰痛の治療にもよく使用するツボです。 風池に鍼しているところ。頭痛や肩こり・目の症状の治療によく使用するツボです。 前回の鍼との違いは、「痛みを取る治療」と「疲れを癒す治療(=元気を補う治療)」の比率を変えた点にあります。 2診目では痛みを散らす治療の比率を上げて、補う治療の比率を下げています。 1診目の治療である程度の補給は終えているので、2診目では痛み対策に集中することができるのです。 前回の治療効果が活きている状態で鍼灸治療できるのは、2日連続でご来院いただくことのメリットです。 週が明けて・・・頭痛・眼痛は!? メールをいただいたところ、頭痛・眼痛は現れておらず。 お仕事もなんとかこなせているようです。 定期的に通院していただくことが理想なのですが、この方のように「ここぞ!」という時に短期集中で鍼灸を効かせる!という通院スタイルも当院では受け付けています。 当院の東洋医学的な鍼灸ケアを希望される方は 電話予約はコチラ0721-53-6330 メール予約はコチラ