Category: ママサポート鍼灸

  • 吐き気を伴う眩暈(めまい)の鍼灸カルテ

    吐き気を伴う眩暈(めまい)の鍼灸カルテ

    この春に多い?眩暈(めまい) 先日、眩暈の鍼灸カルテを紹介しました。この春は例年よりも体調を崩される方が多く感じます。その中でも眩暈は多くみられる症状のように感じています。 そんな中、今度はわたしの母親(同居中)が突然に眩暈(めまい)を発症しました。もちろん、すぐさま鍼灸で対応したわけですが、そのときの鍼灸カルテを紹介します。 実は私の母は眩暈(めまい)を起こしやすい体質を持っているため、私が大阪に帰ってきた時分は何度も眩暈(めまい)を起こしていました。いわゆるメニエール病の診断を受けていたようです。 最も記憶に残る眩暈(めまい)では、兄の結婚式当日の朝に眩暈を起こしたこともありました。すぐさま応急処置的に鍼して、その日は無事に事なきを終えましたが…(おそらく、母本人はそのことを忘れているハズ) それからも繰り返し眩暈を起こし、そのたびに鍼とお灸で対処してきました。そのせいか、この10数年は母が眩暈(めまい)を起こすこともなくなり、私にとっても眩暈(めまい)は得意な疾患の一つとなっています。  さて眩暈の鍼灸カルテといきましょう。 鍼灸カルテ・眩暈 2024.04 主訴:めまい 発症時刻は4月3日 AM6:00くらい 朝起きるなり、突然の眩暈(めまい)に襲われた。 また、眩暈とともに吐き気を伴う。寝返りしても眩暈が起こるので、ただただ目を閉じて、布団の中でジッとする。(目を閉じても眩暈・吐き気はしばらく続く) 眩暈がおさまるまで目を閉じて床に臥せる…のイラスト 父からの報告を受け、家庭内往診。すぐに寝床にて治療を始めます。まずは脈を診ます ◇脈診情報 沈んだ脈で極めて弱い脈 また、その弱い脈の中にも小さな滑脈がみられる。 そして意外なことに、脈位(寸関尺)の差異はみられない。 症状の特徴、脈診情報、そして普段の母の体質から…次のような治療方針をたてます。 ◇治療方針 ①…中氣を補い、膈を開く(補中・利膈) ②補脾胃によって①を補助。かつ利水祛湿 ③宿(腎虚)に対する補裏気および納氣 治療はお灸からはじめ、次に鍼治療です。 使用した経穴は、中脘・関元・鳩尾・足三里・陰陵泉・太谿……など(他は門外秘)です。 この治療によって寝返りが可能となります。 眩暈(めまい)に対する鍼灸は、このように効果がすぐに現れるケースがしばしばあります(もちろん個人差・体質差はあります)。眩暈のように「突然に発症し、何をしてもツラい…!!状態を速やかに解除できる」というのは鍼灸ならではの長所だと思います。 寝返りができるようになったので、次は伏臥位(うつ伏せ)にて背部治療を加えて、さらに症状の軽減を狙います。 一連の治療によって、起床可能・起き上がることもできるようになりました。 とはいっても、しばらくは要安静であること。そして排尿頻度が増えることを伝えておきます(利水の治療をしたので、尿の回数が増えるのです)。 2診目は二日後の4月5日 (※4/4は大学病院勤務の日で、半日は留守にしていたのです…と言い訳) 主訴:眩暈(めまい)はほぼ消失。フワフワ感じが少し残るくらい。 経過は良好のようで、軽い食事も摂れている。 起き上がり、二階まで歩いて上るなど、屋内や近所までの近距離歩行なら問題ないとのこと。 また初診の鍼治療の後は、やはり尿がよく出たとのこと。 ◇脈診情報 全体的に沈んだ脈は変わらずだが、緩脈が入ってきて、滑脈もみられる。 両関上脈は弱脈が残る(左<右) 寸口脈にも弱脈が残る。 関上と尺中の一部に緩脈がみられる この脈診の情報が、初診時と2診目で大きく変化している点がポイントなのです。 脈診所見は初診時と大きく変化しているとはいえ、これは良い変化であり、想定内のこと。ですので、治療方針は前回と同じでいきます。 一連の治療によって、フワフワ感も消失。 眼の力も増し、目に輝きが出る。 (いわゆる目ヂカラです。この目の力の有る無しって意外と大事な所見です) 治療後の脈診所見は、母の通常脈に戻る。 以上をもって、眩暈の急性期を脱したとみなし、通常の養生期に入ります。普段から親孝行の鍼お灸をしなさい!ということでしょうね。 院長 足立繁久

  • 眩暈(めまい・頭重感)の鍼灸カルテ

    眩暈(めまい・頭重感)の鍼灸カルテ

    春に多くみられる眩暈(めまい) 今年の春は眩暈(めまい)を訴える患者さんが多いように感じます。 春季は五行でいうと「木」に属します。また五臓では「肝」に相当します。そして「木」とは「伸びる」「上昇する」といった性質を持ちます。 イラスト:五行の木・火・土・金・水 そのため「春」になると、冬の間に沈滞していた気を一気に上昇させて、春の陽気を活性化させるのです。人体の臓腑では「肝・胆」という器官に属しますが、やはり「上昇」させる性質を持ちます。 この「上昇」が一気に起こることで「眩暈(めまい)」の他にも「頭痛」「目痛」「耳鳴り」などの上部における体調不良がみられるのです。 気候の変化も不安定となる春先、それに影響を受けて人体のコンディションも不安定となるのです。いわゆる季節の変わり目にみられる体調不良・不定愁訴です。病院によっては“自律神経失調症”と診断を受けることもあります。 先日(3月下旬)にも、めまいを訴える女性(70歳)が来院されました。東洋医学ではどのように診断して治療するか?当院の眩暈の鍼灸カルテを紹介しましょう。 眩暈の鍼灸カルテ 主訴:フラフラ・フワフワするタイプのめまい 他にも頭目がボ~ッとする。頭重感。眼の奥が痛い…などの随伴症状もある。 めまいの発症は、朝10時すぎ。鏡を見ると、上眼瞼(まぶた)が脹れぼったい。 それが気になり、眼をゴシゴシこするうち、頭全体にも重くなり、フラフラ・フワフワめまいが始まったとのこと。 「体調が悪い時は足を温めたらよい」と聞いたことがあったので 両足を温めたところ…上半身全体がゾワゾワ~と薄ら寒いような感覚(悪寒ほどではない)が、上へ上へと昇ってきたとのこと。 「こんな気持ちの悪い感覚は病院で言っても伝わらないと思い、足立先生のところに来ました」とのこと。この言葉に気を良くして、早速診察に入ります。 東洋医学の診たてでは… 当院では東洋医学的な診断を行いますので、脈診や腹診で病気の性質を見極めます。 写真:当院でおこなう脈診 さてこの女性の脈はどのような脈かというと… 全体に沈んで緩脈が目立ちます。しかし所々に濇脈や滑脈といった特徴的な脈状が現れています。 脈診で得られた情報は、主に湿邪(いわゆる水毒)に関わるものです。どうやらこの眩暈は湿邪が主となり発症したようです。では、この眩暈は「木」や「肝」とは関係ないのか?というと、そうではありません。 問診情報の中に「木」に関する情報がちりばめられています。 脈診と問診を総合的に分析(合参)して、治療方針を導き出します。この女性の眩暈に対する治療方針は次の3つ。 ①中気を補い、膈を開く(補中・利膈) ②脾経・胃経に鍼することで、①の補助をを行いつつ、胃の停滞を解消 ③上部の気をめぐらしつつ、下部に気を引き下ろす。 脾・胃・腎に関わる経穴に鍼治療・お灸をすることで、利水を促します。この利水によってめまい症状の主犯である湿邪を取り除くことが大きな狙いです。 使用した経穴のいくつかを挙げると…〔中脘・足三里・陰陵泉・太谿…(他は門外秘)〕など。これらの経穴はよく知られる経穴です。 もちろん、うつ伏せになり背部経穴へも鍼・お灸を行います。 背中にはり治療を受ける女性のイラスト ひと通りの治療を終え、脈診でチェックします。 すると…問題視していた緩脈・滑脈・濇脈がとれて、全体に張りのある伸びやかな脈状に回復しています。 実際の体調を確認しても、めまい・眼の痛み・頭重感もとれたとのこと。 気分的にもずいぶんとスッキリしたようすで、視界も明るくなったといってくれます。 念のために来週も治療にきます!と言って、満足げに帰宅されました。 2診目の問診で聞くと、あれから眩暈が起こることもなく、胃のムカムカが少し残る程度のコンディションとのこと。 もちろん、湿邪の停滞はしっかり確認できたので、根本的な体質改善ということで2診目の治療もキッチリと鍼お灸をしておきました。 以上、この春に多くみられた眩暈(めまい)の鍼灸カルテの一つを紹介させていただきました。 院長 足立繁久

  • 睡眠不足に悩む育児ママに産後ケア…のはなし

    睡眠不足に悩む育児ママに産後ケア…のはなし

    受付の足立ももえです。 先日、産後6ヶ月のママさんが来院されました。 この方は妊娠中に逆子治療で当院に通院されていた方。 もともと肩こり腰痛で近くの整骨院に通っておられたようで 「逆子がなかなか治らない」とその整骨院の先生に相談したところ 「逆子治すんやったら足立先生んとこ行き!」と紹介いただいて当院に。 治療3回で逆子は無事に治って、自然分娩でお産もできました。 けど “あと1回” の治療回数券が残っていたので、その1回分を使い切るため今回来院していただきました。 ※お産や手術が理由の場合、無期限で治療回数券は使えるのです。 赤ちゃんはご実感に預けてこられたので会えなかったのですが(ちょっと残念…) しっかり産後ケア鍼灸をさせていただきましたよ。 元々あった肩こり・腰痛もツラいけど、なによりも睡眠不足がツラいとのこと。 退院してしばらくは赤ちゃんもよ~く眠ってくれていたとのこと(親孝行な赤ちゃん!) でも、2週間前に赤ちゃんがカゼを引いて下痢しはじめたのをきっかけに状況が変わります。 お子さんはすっかり完治したものの、お母さんもカゼをもらってしまい体調を崩して、睡眠も不規則になってきたとのこと。 お子さんの風邪や体調不良がきっかけで、お母さんまで体調を崩すことありますよね…。 なによりも乳幼児の育児中での睡眠障害はほんと~うにツラいです。 当院では、そんなママさんの治療には丁寧に時間をかけて治療しています。 治療の前半は手足のツボにお灸と鍼して、まずは心身のリラックスを導きます。その後10~15分ほどアイマスクして毛布の中でウトウトしていただきます。 疲れが蓄積されている方、睡眠不足の方はこの短い時間の中でもしっかりと仮眠をとっていただきます。 後半の治療で、腰・背中・肩に鍼灸をして仕上げです。 授乳や抱っこで肩・肘・腰にダメージはたまるもの、まずは鍼治療、そしてお灸で血行をよくして疲れを流して治療完了です! ホントは鍼やお灸の効果にはもっと複雑なようですけど、インチョーの話が難しくて…私に書けるのはここまでです。(笑) 帰り際に玄関で「あ~スッとした~」と呟いてくれた心からの声が嬉しくて印象的でした。

  • NICUで“希望の星”と呼ばれた子

    NICUで“希望の星”と呼ばれた子

    【NICUで“希望の星”と呼ばれた子】 産まれました!のご報告をいただきお祝いに訪問した時に記念撮影。 (2019年12月末に撮影) この時の実際年齢はちょうど生後0日だそうです。 『なぜ生後0日なのか?』その理由は…続きを読んでみてください。 お見舞いに訪問した時に聞いた話が、NICUで「希望の星」と呼ばれていたとのこと。 この子のお母さんは2年ほど前「びまん性平滑筋腫症」の診断を受けました。 この「びまん性平滑筋腫症」は、やっかいなことに治療法は満足に確立されておらず、参考となる症例もかなり少ないとのこと。 病態としては、子宮筋層にびまん性に腫瘍組織が増殖した状態。 分かりやすく言いますと、子宮筋層深くに部分切除できない位あちこちに癌が多発している状態。 そのため、病院側の治療方針としては子宮全摘出。 しかし結婚3〜4年目で新居に引越したばかり…そんな希望に満ちたご夫婦にとっては信じたくない診断だったと思います。 そして新婚のご夫婦となれば「お子さんを授かること」も大切な希望の一つ。 しかし治療法が確立されていないため「癌を治したい」とは言葉にできない…。 かといって「妊娠をしたい」という希望の言葉も口にできない…。当院に来られたときはちょうどそんな状態でした。 病院では十二分に説明を受け、ネットでも散々に調べ尽くしたと言ってました。 「子宮全摘」「確実な治療法はない」 しかも「妊娠したら、その場合は子宮の腫瘍組織はどうなるわからない」とのこと…。 それ等をすべて承知の上で『東洋医学でなんとかなるなら…』と、言葉にできない望みをかけて来られたのだと察します。 実際の当院での治療を簡単に紹介しますと… 鍼は使えずなかったので(毫鍼は苦手とのこと)台座灸メインの打鍼で治療しました。 主に肝胆経を疎通させ、それに駆邪(水血)を加味する治療方針が多用しました。 初期の頃は、伏寒の邪が強かったことも印象的です。 この方の全身状態は悪くなかったものの、腫瘍組織が徐々に大きくなるにつれ、その圧迫いよる腰腹の張痛、下肢の痺痛が後期の頃は目立っていました。 しかし、これらの症状っは上記の鍼灸治療で対処可能でした。 当院で鍼灸治療を始めて半年過ぎた頃にめでたく妊娠!!! とはいえ、この頃も妊娠が判明しても「おめでとうございます」とはまだ言えなかった…。 出産まで無事に妊娠継続できるのか? 無事に妊娠継続できたとして子宮筋層の腫瘍は成長せずに維持できるか? 転移の可能性は? そして無事にお産にこぎつけたとしても、子宮全摘は決定的 …などの条件を私もこの方もお互いに胸にしまいつつ、とにかく明確な言葉はできないながらも、未来に向かって進んでいったことが思い出されます。 そして、なにより旦那さんのツラく葛藤するお気持ちはいか程であったでしょう。私の想像をはるかに超えていたのだと察します。 幸いにして妊娠中の経過は至って順調。 順調に入院して後、2019年の年末に帝切にて無事出産となりました。 (2019年12月末に撮影、希望の星の子のお手て。愛らしい…) ただ一つ問題だったのが、 手術前に自己輸血のために採血する予定だったのが、うまくいかず(原因は何だったか忘れてしまいました…) オペ内容は、帝切にて胎児のとり上げ&子宮全摘…諸々の複合オペ。 担当医の先生としては、冷や汗・油汗ものだったと思います。 オペ後報告では、腫瘍組織が子宮外への癒着ギリギリだった(その差、1,2ミリで危なかった!)とのこと。 もし腫瘍組織が子宮体外に出てしまうと大出血はもちろん、出血性ショックを起こし、最悪の場合…という危険がリアルに予想された状態だったとのこと。 (旦那さんには覚悟しておいてくださいとの事前告知もされていたとのこと) しかし、何はともあれ ①「びまん性平滑筋腫症」の判明後に妊娠、無事出産 ②術後に判明した病態もギリギリセーフ ③NICUでも特に問題を起こすことなく (予定日よりも2ヶ月くらい早い誕生だった) …と、ダブル・トリプルで奇跡的な条件をクリアした赤ちゃん!なので「希望の星」と呼ばれたとのこと。 担当医の先生は「必ず論文にします」と言ってくれたとのこと(この論文をみて同じような方の希望になれば…とこの方も望んでおられます)。 その論文に“鍼灸”の文字は載らないでしょうけど、もちろんこの奇跡に鍼灸が貢献しました!!なんてアピールするつもりはないけど(笑) 長年、鍼灸治療に携わっているとアンビリーバボーと言われるような症例に関わる機会って意外とあるものです。 やみくもに鍼灸を盲信するのはお勧めしないけど、鍼灸には医療に貢献できる余地がまだまだあるということは、鍼灸師の方々には知っていて希望を持っていて欲しいと思う次第です。

  • 自律神経系の症状群でお悩みの女性 鍼灸カルテ

    自律神経系の症状群でお悩みの女性 鍼灸カルテ

    自律神経の問題と病院で診断を受け… 60代前半の女性、近所に住む娘さんからの紹介で鍼灸を受けにご来院です。 「耳がふさがる感じ(耳閉感)」「ノドの詰まり」「胸がふさがる感覚」 時にそれが強くなると息苦しくなり閉塞感・呼吸困難までになる。 また、ノドの詰まりのために食欲不振に陥る。 さらに不眠症状も現れ、倦怠感・疲労感が取れないし、気力も湧かない。 …このような症状のループに陥ってしまい、かかりつけ医院に行くも 「自律神経の問題でしょう。」と診断され、 デパスを処方されていたが、寝つけず、ノドの詰まりも変化なし。 『お薬を飲んでいるのに なんで症状が治らないの?』と不安になり、 ご家族から当院の鍼灸ケアを紹介を受ける。 以上がこの方の来院経緯です。 (写真の女性はご本人さんではありません) しかし、よくお話を聴いてみると、近所にすむ娘さん一家のサポート役に全力を尽くしているようで、お孫さんの面倒をみたり…なにかと身を尽くして頑張っておられた様子。 体調不良のバックボーンには、疲労があることをお伝えして、少し活動のペースを落とすようにもアドバイスさせていただきました。 ということで、鍼灸治療の初めの一手は体の底力を補充することから始めます。 1,2診目ともに体の根本から建て直す治療を行いました。 治療の後には「体がスッとしました。」「背中と胸がスッキリしたの息もしやすいです」「視界も明るくなった感じがして、気持ちも軽いです。」といった良好なコメントをいただいています。 まずは体力を補充を優先して正解かと安心させられるご感想でした。しかし… 3診目・湿気の上昇で体調が悪化… 3診目は突然の電話による鍼灸コールでした。 「先日 鍼してもらった後は調子よかったのに…昨日から体調が悪くなった。」とのこと。 来院していただき症状を聴くと「めまいと倦怠感が強い」とのこと。 調子が崩れた日は急激に湿度が上がったときでした。 鍼灸師のための☝point情報 めまい・耳閉館が外湿の影響を受け悪化することから、体質的に内湿・水毒が強いことが判断できます。 めまいといった内耳系症状に加え、倦怠感も少陰腎が関係する症候だと言えます。腎の弱り(腎虚)に湿邪が乗じた状態だと判断し、それに応じた治療を行いました。 とはいえ、まだ体力的に不安定な面は残っていますので、体力を底上げする治療は引き続き継続、加えて体内の水毒を取り除く治療を行いました。 めまいやノドの詰まりを治療するために、水毒を取り除く治療はよく使います。 そのためにも腎の機能を高め、底力を増し、そして排水能力を確保する治療は必要です。 まずは補給系の治療なので、鍼している間はウトウトしていただき、治療後は「耳のふさがり感もなくなった!」との感想を言っていただきました。 4診目・めまいは治まったが不安は尽きない 前回、利水の治療を強めたこともあり、めまいは起こっていない。倦怠感もかなり薄れているようで、虚脱系の症状は問診時の話題に出てこなくなりました。 しかし、ノドの詰まりが残っており、それによる食欲低下、睡眠障害といった症状はまだ気になる状態。 先日の体調悪化で自信を無くしてしまい、マイナス思考のスパイラルに陥ってしまった様子です。 かかりつけ医院に症状を相談したところ、大学病院に紹介されて漢方薬を処方してもらったとのこと。 処方してもらったのは半夏厚朴湯という漢方薬。 これは喉の詰まりを散らす作用を持つお薬で、気鬱・気滞の体質の方によく処方されます。 半夏厚朴湯に用いられる生薬・半夏(ハンゲ)植物名はカラスビシャク。当院の薬草花壇にも生えています。 どうやらノドの詰まり症状、気滞体質を先に改善しようとする狙いのようです。 処方されたお薬に合わせて、鍼灸治療も気滞に対する治療の比重を増やします。 数字で表現すると、気滞:水毒=7:3の治療比率でしょうか。 鍼灸師のための☝point情報 不定愁訴を訴える患者さんは症状の移り変わりがめまぐるしいケースがあります。一つ症状群を解消しても、次の症状群に意識が向かい『まだ治っていないんですけど…』と感じがちになる傾向があります。 しかし、これに引っ張られてはいけません。このケースでは虚証系の症状は改善しており、気滞系の症状が主となっていることに注目すべきでしょう。 解消した症状と今表れている症状を整理して治療方針を組み立てるべきですし、患者さんご自身にも現在の体質を把握してもらう問診と説明を心がけることが必要です。 ーーーー 5〜7診・ノドの詰まり感が解消! ノドの異物感・閉塞感も解消され、食事も摂れるようになり、眠られているとのこと。 かかりつけドクターに処方されていた“お守り替わりのお薬(デパス)”も服用せずに済んでいるとのことです。 (ドクターには「本当にしんどくなった飲んだらいいですよ。」と念のため処方していただいていたとのこと) 食事と睡眠が回復してくれば、あとは自分の力で体力も回復させることができます。 自力回復のために必要な最後の要素は運動です。…

  • 台風の日に激しい頭痛

    台風の日に激しい頭痛

    仕事中に激しい頭痛に襲われ・・・ 40代半ば、働く二児のお母さんの症状です。 主訴は仕事中に突然発症した頭痛・めまい そして目の奥の痛み・吐き気で目も開けられず・・・という状態。 先日の台風の日の午後、仕事中に激しい頭痛に急に襲われ、慌てて頭痛薬を飲むも一向に痛みは治まらず…。 仕事を早めに切り上げ帰宅、一夜あけても頭痛が治まらない状態だったので、週末の当院に鍼灸コールです。 台風による気圧や湿度の影響、この環境の変化によって症状が左右されるのも自律神経失調症の特徴といえます。 診察すると、脈もツボも全体的に体の上部に気が上っている状態。 これは神経が亢進しすぎた状態といえばイメージしやすいでしょうか。 体が過剰緊張の状態からスイッチ・オフにできない状態が連日続いている状態と言えます。 戦闘モードが解除されない状態が続いている…と言い換えてもよいでしょう。 このことを伝えると思い当たる節もあったようです。 ということでさっそく鍼灸スタートです。 鍼灸師のための☝point情報 連日の戦闘モードとはいえ、この状態はその背後に半端ない疲労も隠れているのが常のことです。 ですので、戦闘モード(体の過剰緊張)を緩めることと、体の体力を補充することを同時進行で行う必要があります。 いわゆる先補後瀉(せんぽこうしゃ)を採用すべき…と思うところですが、この方の場合は先に緊張を解除し、その後に補う“先瀉後補”を採りました。 前半30分の鍼灸ケアで症状は… 前半はあお向けの状態で手足のツボに鍼。 後半はうつ伏せの状態で背中のツボに鍼をしました。 治療イメージとしては、手足のツボで頭・首・肩の緊張を緩めやすい状況を作ります。 というのも症状の中でも、頭痛・目の痛みが特にひどい状態でした。このような状況では頭痛や眼痛のツボに鍼をしても、効果が現れにくいことが多いです。 症状を速やかに解除するには、鍼が効きやすい状況を作る必要があります。それが手足のツボに鍼をすることです。 この前半の治療だけでも頭痛の範囲は減り、前頭部の痛みに限定されています。 後半の治療はうつ伏せの状態で、主に背中・後頭部に鍼をして治療完了です。 治療が終了した時点で、頭痛・めまい・眼の痛み・吐き気といった症状はクリアしています。 しかし、まだ不穏な雰囲気は残っています。週明けお仕事の再開に向け、翌日にもう一度 鍼灸ケアです。 2診目で治療完了! 翌日のご来院、前日に鍼した後のコンディションを聞くと、夕方に頭痛・眼痛が再燃したそうです。 めまいを伴うまではいかなかったようですが…まだ体質的に安定しきっていないことがうかがえます。 2診目の鍼灸では、特に頭痛と眼痛を散らす鍼を重点的に行いました。 攅竹(さんちく)申脈(しんみゃく)と風池(ふうち)丘墟(きゅうきょ)のツボがよく働いてくれました。 申脈に鍼しているところ。申脈は頭痛だけでなく、頸肩部の痛み、腰痛の治療にもよく使用するツボです。 風池に鍼しているところ。頭痛や肩こり・目の症状の治療によく使用するツボです。 前回の鍼との違いは、「痛みを取る治療」と「疲れを癒す治療(=元気を補う治療)」の比率を変えた点にあります。 2診目では痛みを散らす治療の比率を上げて、補う治療の比率を下げています。 1診目の治療である程度の補給は終えているので、2診目では痛み対策に集中することができるのです。 前回の治療効果が活きている状態で鍼灸治療できるのは、2日連続でご来院いただくことのメリットです。 週が明けて・・・頭痛・眼痛は!? メールをいただいたところ、頭痛・眼痛は現れておらず。 お仕事もなんとかこなせているようです。 定期的に通院していただくことが理想なのですが、この方のように「ここぞ!」という時に短期集中で鍼灸を効かせる!という通院スタイルも当院では受け付けています。 当院の東洋医学的な鍼灸ケアを希望される方は 電話予約はコチラ0721-53-6330 メール予約はコチラ

  • 突然のめまいと吐き気に歩けない…

    突然のめまいと吐き気に歩けない…

    買い物途中でメニエール症状を発症 今回のメニエール症状の鍼療カルテは60代後半の女性。 買い物途中でスーパーの店内で突然にメニエール症状が起こったとのこと。 症状も強く、猛烈なめまいと強い吐き気のため自力では歩けない状態、家族に手を引いてもらいながらの来院となりました。 治療ベッドに横たわるものの、目を閉じてもめまいがする。 かといって目を開けようものなら強力なめまいが襲ってきて、吐き気が増強すると、訴える声も弱々しい…そんな状態。 聴けば、メニエール症状は15〜20年に何度か発症していたとのこと。 「最近の体調はそれほどおかしくなかったのに…」とは本人のお言葉。 しかし、ここ最近の変化に急激な湿度上昇があったことは見逃せない外的要因の一つです。 気圧や湿度の変化をきっかけに「めまい・吐き気・耳鳴りが急に発症した」ということは意外と多いケースなのです。 体に影響を与える外からの要因として湿度は湿邪(しつじゃ)や水毒(すいどく)とも呼ばれます。 この水毒の有無を確認するために、脈診・腹診を行います。 脈診では全体に弱く沈んでいるものの、肝腎の根っこは力が残っているようです。脈状は軟脈大脈といったところでしょうか。 軟脈が出ていると時点で湿気の影響を受けている可能性が強いといえます。 腹診では上実下虚(じょうじつかきょ)の情報が強くあらわれています。 鳩尾(みぞおち)の緊張が強く、漢方ではこのようなお腹の状態を心下痞(しんかひ)と呼びます。 この心下痞、軟脈、悪心、吐き気などは水毒と関係の深い情報だといえます。 鍼灸師のための☝point情報 湿邪や風邪 寒邪などを外邪と呼び、体調に影響を及ぼすとされていますが、霊枢にあるように正気がある程度 充実していたら、それほど大きく傷害されることはありません。つまりこの方はそれまでに大きく正気を消耗するような下地があっったということが推測されます。 この方の場合も、正気の弱りが脈診・腹診所見に現れています。 となると、まずは正気の弱りを補充して、悪いものを取り去るという治療方針が立てられます。 その次に処理すべきは湿邪です。この症状は単なる虚証によるものではなく、正氣の虚と実邪が混在して起こる症状です。邪の性質と居場所を明確にすることで治療効果が左右されます。 鍼でめまい体質を改善すると安堵の声が とにかく目が回るような強烈なめまいを鎮静化させる必要があります。 めまいを起こしている身体は、まさに「上実下虚(じょうじつかきょ)」という状態にあります。体の上部に「めまい・吐き気」などの症状が集中しやすく、下部は根本的な元気が不足しているのです。メニエール症状は上下のバランスが破綻してしまった状態といえるのです。 めまいの治療では、この上実下虚の状態を元に戻してあげる必要があります。鍼灸では上実下虚の状態を改善することは、日常的に行っていることです。 治療の前半はあお向けになってもらい、お腹と足のツボを使い、体の上下のバランスを元に戻します。 すると「あ~・・・目が回らなくなってきた。」とホッとしたような声で症状が変化していることを教えてくれます。 ここで注意しなければいけないことは“めまいが治まったからと言ってすぐに目を開けないこと”です。それを注意しようとした瞬間・・・ 油断大敵!めまい再び… 「あー!やっぱりまだ目ぇ回るわ・・・!!」 「んー・・・気持ち悪い・・・」 と、実況中継をしてくれました。 まだこの段階では、完全にめまいを鎮めきっていません。 言うなれば、体を治すためにいったん症状を落ち着かせている状態なので、かんたんな刺激ですぐに症状が再発してしまう状態なのです。 めまいの再発を実際に体験しているので、この理由を伝えるとすぐに理解してくれました。 「(目を開けて)良いと言うまでしばらく目を閉じてもらうこと」を約束してもらい、治療再開です。 さて治療方針でいうと、上実下虚の状態を解除しただけではめまいも吐き気も改善しないということが分かりました。 このことから、メニエール症状を治すにはもう一手が必要だということが確認できました。 そのもう一手が水毒除去です。そしてその水毒は主に鳩尾(みぞおち)に居すわっています。上実下虚モードを解除し、みぞおちの水毒を取り除く鍼をしましたところ・・・。 「また めまいが止まった・・・」 「さっきと違って気分もスッとした感じがします。」と、声にも力が戻ってきたことが分かります。 みぞおちの水毒を取っているので、ムカムカ吐き気も無くなっているはずですので、それも確認すると 「ホントに!ムカムカしたのが無くなってます。」とのこと。 ここでようやく目を開けてもらっても大丈夫。少々なら体を動かしても大丈夫なはずです。 鍼治療の後半は安定させること 姿勢を変えても大丈夫なので、ゆっくりうつ伏せになってもらいます。 その際も「あー・・・体を動かしても目が回らない!!」 「鍼ってエライもんやねー」と感想をしみじみと伝えてくれます。 後半の治療目的は、背中のツボを使って「改善した状態を安定させること」です。 鍼した直後は文字通り「病み上がり」の状態なので、非常に不安定なのです。 ですから症状を再発させないために、体質そのものを安定させる必要があります。…

  • 女性のメニエール病に鍼灸ケア

    女性のメニエール病に鍼灸ケア

    メニエール病の症状     突然おこる激しいめまい(眩暈)  それに伴う吐き気・嘔吐  耳鳴り  難聴・聴力低下  耳閉感(耳がふさがる感覚)  などの症状があります。 メニエール症状の特徴は突然に起こること、激しい症状であることが挙げられます。 東洋医学でみるメニエールの原因 鍼灸や漢方医学でみるとメニエール症状の原因は2つあります。  疲労・過労  睡眠不足 これらの条件は体質的には「腎虚(じんきょ)」と呼ばれ、“腎臓の弱り”を指します。 ※東洋医学の腎臓は、近代医学での腎臓とは違うものです。 東洋医学における腎臓は耳のはたらきにも深い関わりを持っています。 腎臓が弱ることで現れる耳の症状は次のようなものがあります。 聴力低下、めまい、耳鳴り、中耳炎などがあり、症状だけでみると“腎臓とメニエール症状との関係”も連想しやすいものがあります。 しかし、腎臓の弱り(腎虚)だけでメニエールが発症するわけではありません。  緊張・ストレス といった条件が引き金となることも多く、この条件を東洋医学では「肝鬱(かんうつ)」や「気滞(きたい)」と言います。 表現を変えると、メニエールを発症するには、少なくとも2段階以上もの体調不調が重ならないといけません。 つまり、メニエール症状が現れる時点で、その人はかなりの無理を重ねていると言えるのです。  ですから、たとえメニエール症状が治っても、以上の条件を改善しないと“メニエール病を繰り返す”ことにもなります。 繰り返すメニエールに心当たりのある方は、メニエールを体質から改善することを試してみてはいかがでしょうか? メニエールを鍼灸で治療するには メニエールは複数の原因(腎虚・肝鬱や気滞)によって生じますから、鍼灸治療も治療方針をいくつか段階的に組み立てる必要があります。 まずは体の疲労・過労状態を癒し、さらに気滞(体の循環が非常に悪い状態)を解除するケアを加える必要があります。 当院ではこのように一回の鍼灸ケアで2〜3回分の治療を行うことでメニエール病の改善に効果を挙げています。 メニエール症状の鍼灸カルテ集 突然のめまいと吐き気に動けない… New! 授乳中にめまいと難聴と耳閉感が… 突然の激しいめまいに嘔吐も…

  • 授乳中にメニエール症状…鍼灸カルテ・その2

    授乳中にメニエール症状…鍼灸カルテ・その2

    回転性めまいと難聴から始まった… 二児のママさん(40代) 現在、産後8ヵ月。授乳期間中とのこと。 『最近どうも疲れが取れない』『ストレスを感じる』『イライラがコントロールしにくい…』と感じる日が続いていました。 そんなある日のこと、突然に床や天井がグルグル回るようなめまいに襲われ、慌てて耳鼻科へ。 診察を受けるとメニエール症候群の診断…。 診断は出たものの、授乳中なのでお薬の処方は制限があり、当院に鍼灸の併用治療を…とご来院されました。 メニエールの要因がたくさん揃っている… 「産後の疲れが取れない…」 「授乳中である」 「そのため睡眠不足も日常的。」 「上のお子さんも感情が不安定になることしばしば」…と、産後の疲れが定番のように蓄積している状態です。 また、耳がふさがる感じ(耳閉感)にも日常的に悩まされ、右耳の聴力低下も耳鼻科で指摘されたとのこと。 問診した時は、めまいの激しさは少なくなっているようでしたが、耳の症状が多いのが特徴です。 ※起き上がった時や首を動かした時にめまいが起こる状態。 東洋医学では腎虚体質の可能性が強いといえますね。 鍼灸師のための☝point情報 めまい・聴力低下などから腎虚を想定しますが、注目すべき条件として“産後”であり“授乳中”であることがポイントです。 “産後”も“授乳中”もともに血虚の可能性が強いと言えます。 単に腎虚として治療するだけでなく、補血の治療要素も組み込む必要があると判断しました。 めまい症状は内風によるものと言えます。また「風を治するにはまず血を治する」という言葉もあります。 『李中梓 医学全書』(中国中医薬出版社)より引用 これは痺証に関する言葉ですが、内風にも適用できると考えます。 と、うんちく話は置いておいて… とにかく、体調を調えて不足した元気を補充し、症状を落ち着かせる鍼灸ケアを開始します。 補う鍼をするときは、弱ったツボ(経穴)にやさしい鍼をするのが常道です。 また、鍼をしばらく効かせたまま安静にしてもらう“置鍼(ちしん・おきばり)”の時間を設けます。 ※置鍼はツボに鍼を刺した状態でお休みいただくことです。 疲労が強い人ほど、置鍼の間にウトウト、スヤスヤすることが多いです。 この方も予想通りウトウトしていただきました。 ママサポート鍼灸では、赤ちゃんと添い寝しながら置鍼をすることもあります。(※このカルテの女性とは別の方の写真です) 置鍼中にウトウトした方が鍼はよく効くのです。 治療後…「なんだか、耳がスッキリする気がします!」と耳閉感の改善したことに気づいていただきました。 それもそのはず。疲労を取り除き、元気を補充し、耳周りの渋滞・詰まりを開通させる治療をしたのですから。 これで一週間様子をみましょう。 ただし「自宅でのお灸はできるだけ続けてください」とのお願いをしてお帰りいただきました。 2診目、めまいは治まり 耳閉感が残る この一週間はめまい症状は治まっていたようです。 しかし、耳のふさがる感じ・耳閉感は続いているとのこと。 治療は引き続きエネルギー補給の治療を主としますが、耳周りの詰まりを開通させる要素を少し増やします。 治療中にウトウト…治療後に耳がスッキリ(耳閉感の軽減)は前回と同じ。 3診・4診、耳閉感は徐々に減少するも… 耳閉感は治療開始の頃に比べると確実に減ってはいるものの、睡眠不足や疲労、そしてストレス時に悪化するようです。 腎虚体質・血虚体質と気滞(≒ストレス)が関与していることがわかる情報です。 また、耳閉感は五感にかかわる症状ですから、精神的な負担・ストレスに直結します。 つまり耳閉感そのものがストレスの元になり、そのせいで耳閉感が悪化、治らない…という流れもあるのです。 エネルギー補給と渋滞解消の治療は必須です。そしてその治療の質を強める必要があります。 5診目、耳閉感も落ち着き… この一週間は耳閉感も落ち着いて、ストレスも減ったとのことです。 聴力に関してはまだ安心はできませんが、めまい・耳閉感は落ち着いているため(また、お子さんの夏休み期間に入るので)ここで一旦、鍼灸ケアは卒業とします。 夏の睡眠不足と家事・育児の疲労への対策として、自宅灸のツボをアドバイスしてお見送りしました。 当院の東洋医学的メニエール鍼灸ケアを希望される方は 電話予約はコチラ0721-53-6330…

  • メニエール症状の鍼灸カルテ

    メニエール症状の鍼灸カルテ

    突然の回転性めまい・吐き気に鍼灸コール 一児のママさん(40代)、出先で突然に起こった回転性のめまい(眩暈)に吐き気。 それを我慢しての車の運転…途中何度も休憩したそうですが、さすがに自宅についた途端に安心したのもあったのか嘔吐…。 その翌日に当院に鍼灸コールをいただきました。 来院時は、足取りも弱々しく顔色も真っ青。 いつもの明るい表情も乏しく、声に力がありません。 以上の症状であれば、当然の状態といえます。 話を聴くと 「美容院であお向けの姿勢が続いた後、起き上がった時にめまいが起こった。」とのこと。 長時間あお向け・うつ伏せの状態が続いた後、急に起き上がることでめまいが起こることがあります。 とはいえ、美容院の姿勢が直接の原因ではありません。 それまでに体質的な“何か”が別の原因として隠れていたのです。 多くの場合は過労・心労・睡眠不足のような慢性的に体力を消耗するようなことが背景に隠れています。 聴けば、この方にも睡眠不足やストレス要因があったとのこと。 加えてこの夏の暑さが疲労や睡眠不足の程度を強めています。 東洋医学ではメニエール症状の多くは腎虚体質によるものと診ることが多いですが、この方もそのタイプのようです。 鍼灸師のための☝point情報 脈診所見では、脈が細く硬く深く沈んでいます。沈脈・弦脈・細脈と呼ばれる脈です。 腎の部位には弱脈を現わしています。 また弦脈であること。 そして「めまいと吐き気があるにも関わらず運転する」という情報から、 気力が強く、いわゆる肝実の気質が強いタイプだと見受けられます。 おおまかに言うと水虚木旺の証だと言えます。 一般的には「上実下虚(じょうじつかきょ)」という状態がわかりやすいです。 身体の上部では渋滞のようになっており、それがめまい・吐き気を起こしています。この状態が“上実”です。 しかし、その渋滞を解消するだけの底力が残っていない…そんな状態が“下虚”です。 鍼灸の治療方針としては、身体の底力を補充し、上部の渋滞を解除する治療を行います。 治療終了後はめまいや吐き気は治まり、顔色や声の力もかなり回復していました。 とはいえ、まだ油断はできません。 しっかりと睡眠を摂ること、普段は安静しておくことをお願いして治療終了としました。 しかし・・・「明日から九州に車で旅行に行くのですが、行っていいですか?」とのこと。これには私も(この方の精神力に)びっくりしましたが(笑) 「運転は旦那さんにしてもらうこと」を約束してもらい鍼灸治療を終了としました。 2診目・吐き気は無いが、頭を動かすと… 翌週、めまい発症後の2診目です。 (熊本城のイラスト) 「おかげさまで九州旅行は無事に帰ってこれました。」 「運転も少しだけできました。岡山~山口の間くらい」  (んっ!?話が違うゾ…) 「治療の後、息子の参観日があって、行けるか不安だったのですが行けました!」  (これも聞いてなかったよ~…) 「ただ、首を動かすとフワッと(めまいが)来るんです。」  (そりゃそうだよね…) ということで、しっかりめまいが起こらない体質を定着させるべく“上実下虚”体質を改善させる治療です。 治療方針は前回と同じです。 3診目・まだ無理してらダメですか? 「どうもまだフワフワ~ッとしためまいがあります。」 「無理して疲れを感じるとめまいも強くなる感じで…」  (そうです。だから安静にして欲しいんです。) 「睡眠を摂るとマシになる気がします。」  (そう!だから睡眠が大事なんです。) めまい症状は東洋医学ではその背景に疲労・睡眠不足が関係している…と書きましたが、めまいの改善には、安静や休息・そして睡眠がとても大切です。 この方はどうも気力が強く、ナチュラルに無理を重ねるタイプですが、体感的に「睡眠がめまい改善に良い」と察してくれているようです。 「やっぱり(めまいが)治りきるまで安静にしないとダメなんですね。」 と、体感的に、本能的に分かってくれたようです。 「めまいの体質が定着してしまうと、体調が不安定になれば簡単にめまいを起こすようになりますよ。」とアドバイスを伝えて、しっかりと鍼灸を受けてもらうこと。そして安静を意識してもらうことを理解していただきました。…