Category: 自律神経失調症
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眩暈(めまい・頭重感)の鍼灸カルテ
春に多くみられる眩暈(めまい) 今年の春は眩暈(めまい)を訴える患者さんが多いように感じます。 春季は五行でいうと「木」に属します。また五臓では「肝」に相当します。そして「木」とは「伸びる」「上昇する」といった性質を持ちます。 イラスト:五行の木・火・土・金・水 そのため「春」になると、冬の間に沈滞していた気を一気に上昇させて、春の陽気を活性化させるのです。人体の臓腑では「肝・胆」という器官に属しますが、やはり「上昇」させる性質を持ちます。 この「上昇」が一気に起こることで「眩暈(めまい)」の他にも「頭痛」「目痛」「耳鳴り」などの上部における体調不良がみられるのです。 気候の変化も不安定となる春先、それに影響を受けて人体のコンディションも不安定となるのです。いわゆる季節の変わり目にみられる体調不良・不定愁訴です。病院によっては“自律神経失調症”と診断を受けることもあります。 先日(3月下旬)にも、めまいを訴える女性(70歳)が来院されました。東洋医学ではどのように診断して治療するか?当院の眩暈の鍼灸カルテを紹介しましょう。 眩暈の鍼灸カルテ 主訴:フラフラ・フワフワするタイプのめまい 他にも頭目がボ~ッとする。頭重感。眼の奥が痛い…などの随伴症状もある。 めまいの発症は、朝10時すぎ。鏡を見ると、上眼瞼(まぶた)が脹れぼったい。 それが気になり、眼をゴシゴシこするうち、頭全体にも重くなり、フラフラ・フワフワめまいが始まったとのこと。 「体調が悪い時は足を温めたらよい」と聞いたことがあったので 両足を温めたところ…上半身全体がゾワゾワ~と薄ら寒いような感覚(悪寒ほどではない)が、上へ上へと昇ってきたとのこと。 「こんな気持ちの悪い感覚は病院で言っても伝わらないと思い、足立先生のところに来ました」とのこと。この言葉に気を良くして、早速診察に入ります。 東洋医学の診たてでは… 当院では東洋医学的な診断を行いますので、脈診や腹診で病気の性質を見極めます。 写真:当院でおこなう脈診 さてこの女性の脈はどのような脈かというと… 全体に沈んで緩脈が目立ちます。しかし所々に濇脈や滑脈といった特徴的な脈状が現れています。 脈診で得られた情報は、主に湿邪(いわゆる水毒)に関わるものです。どうやらこの眩暈は湿邪が主となり発症したようです。では、この眩暈は「木」や「肝」とは関係ないのか?というと、そうではありません。 問診情報の中に「木」に関する情報がちりばめられています。 脈診と問診を総合的に分析(合参)して、治療方針を導き出します。この女性の眩暈に対する治療方針は次の3つ。 ①中気を補い、膈を開く(補中・利膈) ②脾経・胃経に鍼することで、①の補助をを行いつつ、胃の停滞を解消 ③上部の気をめぐらしつつ、下部に気を引き下ろす。 脾・胃・腎に関わる経穴に鍼治療・お灸をすることで、利水を促します。この利水によってめまい症状の主犯である湿邪を取り除くことが大きな狙いです。 使用した経穴のいくつかを挙げると…〔中脘・足三里・陰陵泉・太谿…(他は門外秘)〕など。これらの経穴はよく知られる経穴です。 もちろん、うつ伏せになり背部経穴へも鍼・お灸を行います。 背中にはり治療を受ける女性のイラスト ひと通りの治療を終え、脈診でチェックします。 すると…問題視していた緩脈・滑脈・濇脈がとれて、全体に張りのある伸びやかな脈状に回復しています。 実際の体調を確認しても、めまい・眼の痛み・頭重感もとれたとのこと。 気分的にもずいぶんとスッキリしたようすで、視界も明るくなったといってくれます。 念のために来週も治療にきます!と言って、満足げに帰宅されました。 2診目の問診で聞くと、あれから眩暈が起こることもなく、胃のムカムカが少し残る程度のコンディションとのこと。 もちろん、湿邪の停滞はしっかり確認できたので、根本的な体質改善ということで2診目の治療もキッチリと鍼お灸をしておきました。 以上、この春に多くみられた眩暈(めまい)の鍼灸カルテの一つを紹介させていただきました。 院長 足立繁久
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自律神経系の症状群でお悩みの女性 鍼灸カルテ
自律神経の問題と病院で診断を受け… 60代前半の女性、近所に住む娘さんからの紹介で鍼灸を受けにご来院です。 「耳がふさがる感じ(耳閉感)」「ノドの詰まり」「胸がふさがる感覚」 時にそれが強くなると息苦しくなり閉塞感・呼吸困難までになる。 また、ノドの詰まりのために食欲不振に陥る。 さらに不眠症状も現れ、倦怠感・疲労感が取れないし、気力も湧かない。 …このような症状のループに陥ってしまい、かかりつけ医院に行くも 「自律神経の問題でしょう。」と診断され、 デパスを処方されていたが、寝つけず、ノドの詰まりも変化なし。 『お薬を飲んでいるのに なんで症状が治らないの?』と不安になり、 ご家族から当院の鍼灸ケアを紹介を受ける。 以上がこの方の来院経緯です。 (写真の女性はご本人さんではありません) しかし、よくお話を聴いてみると、近所にすむ娘さん一家のサポート役に全力を尽くしているようで、お孫さんの面倒をみたり…なにかと身を尽くして頑張っておられた様子。 体調不良のバックボーンには、疲労があることをお伝えして、少し活動のペースを落とすようにもアドバイスさせていただきました。 ということで、鍼灸治療の初めの一手は体の底力を補充することから始めます。 1,2診目ともに体の根本から建て直す治療を行いました。 治療の後には「体がスッとしました。」「背中と胸がスッキリしたの息もしやすいです」「視界も明るくなった感じがして、気持ちも軽いです。」といった良好なコメントをいただいています。 まずは体力を補充を優先して正解かと安心させられるご感想でした。しかし… 3診目・湿気の上昇で体調が悪化… 3診目は突然の電話による鍼灸コールでした。 「先日 鍼してもらった後は調子よかったのに…昨日から体調が悪くなった。」とのこと。 来院していただき症状を聴くと「めまいと倦怠感が強い」とのこと。 調子が崩れた日は急激に湿度が上がったときでした。 鍼灸師のための☝point情報 めまい・耳閉館が外湿の影響を受け悪化することから、体質的に内湿・水毒が強いことが判断できます。 めまいといった内耳系症状に加え、倦怠感も少陰腎が関係する症候だと言えます。腎の弱り(腎虚)に湿邪が乗じた状態だと判断し、それに応じた治療を行いました。 とはいえ、まだ体力的に不安定な面は残っていますので、体力を底上げする治療は引き続き継続、加えて体内の水毒を取り除く治療を行いました。 めまいやノドの詰まりを治療するために、水毒を取り除く治療はよく使います。 そのためにも腎の機能を高め、底力を増し、そして排水能力を確保する治療は必要です。 まずは補給系の治療なので、鍼している間はウトウトしていただき、治療後は「耳のふさがり感もなくなった!」との感想を言っていただきました。 4診目・めまいは治まったが不安は尽きない 前回、利水の治療を強めたこともあり、めまいは起こっていない。倦怠感もかなり薄れているようで、虚脱系の症状は問診時の話題に出てこなくなりました。 しかし、ノドの詰まりが残っており、それによる食欲低下、睡眠障害といった症状はまだ気になる状態。 先日の体調悪化で自信を無くしてしまい、マイナス思考のスパイラルに陥ってしまった様子です。 かかりつけ医院に症状を相談したところ、大学病院に紹介されて漢方薬を処方してもらったとのこと。 処方してもらったのは半夏厚朴湯という漢方薬。 これは喉の詰まりを散らす作用を持つお薬で、気鬱・気滞の体質の方によく処方されます。 半夏厚朴湯に用いられる生薬・半夏(ハンゲ)植物名はカラスビシャク。当院の薬草花壇にも生えています。 どうやらノドの詰まり症状、気滞体質を先に改善しようとする狙いのようです。 処方されたお薬に合わせて、鍼灸治療も気滞に対する治療の比重を増やします。 数字で表現すると、気滞:水毒=7:3の治療比率でしょうか。 鍼灸師のための☝point情報 不定愁訴を訴える患者さんは症状の移り変わりがめまぐるしいケースがあります。一つ症状群を解消しても、次の症状群に意識が向かい『まだ治っていないんですけど…』と感じがちになる傾向があります。 しかし、これに引っ張られてはいけません。このケースでは虚証系の症状は改善しており、気滞系の症状が主となっていることに注目すべきでしょう。 解消した症状と今表れている症状を整理して治療方針を組み立てるべきですし、患者さんご自身にも現在の体質を把握してもらう問診と説明を心がけることが必要です。 ーーーー 5〜7診・ノドの詰まり感が解消! ノドの異物感・閉塞感も解消され、食事も摂れるようになり、眠られているとのこと。 かかりつけドクターに処方されていた“お守り替わりのお薬(デパス)”も服用せずに済んでいるとのことです。 (ドクターには「本当にしんどくなった飲んだらいいですよ。」と念のため処方していただいていたとのこと) 食事と睡眠が回復してくれば、あとは自分の力で体力も回復させることができます。 自力回復のために必要な最後の要素は運動です。…
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台風の日に激しい頭痛
仕事中に激しい頭痛に襲われ・・・ 40代半ば、働く二児のお母さんの症状です。 主訴は仕事中に突然発症した頭痛・めまい そして目の奥の痛み・吐き気で目も開けられず・・・という状態。 先日の台風の日の午後、仕事中に激しい頭痛に急に襲われ、慌てて頭痛薬を飲むも一向に痛みは治まらず…。 仕事を早めに切り上げ帰宅、一夜あけても頭痛が治まらない状態だったので、週末の当院に鍼灸コールです。 台風による気圧や湿度の影響、この環境の変化によって症状が左右されるのも自律神経失調症の特徴といえます。 診察すると、脈もツボも全体的に体の上部に気が上っている状態。 これは神経が亢進しすぎた状態といえばイメージしやすいでしょうか。 体が過剰緊張の状態からスイッチ・オフにできない状態が連日続いている状態と言えます。 戦闘モードが解除されない状態が続いている…と言い換えてもよいでしょう。 このことを伝えると思い当たる節もあったようです。 ということでさっそく鍼灸スタートです。 鍼灸師のための☝point情報 連日の戦闘モードとはいえ、この状態はその背後に半端ない疲労も隠れているのが常のことです。 ですので、戦闘モード(体の過剰緊張)を緩めることと、体の体力を補充することを同時進行で行う必要があります。 いわゆる先補後瀉(せんぽこうしゃ)を採用すべき…と思うところですが、この方の場合は先に緊張を解除し、その後に補う“先瀉後補”を採りました。 前半30分の鍼灸ケアで症状は… 前半はあお向けの状態で手足のツボに鍼。 後半はうつ伏せの状態で背中のツボに鍼をしました。 治療イメージとしては、手足のツボで頭・首・肩の緊張を緩めやすい状況を作ります。 というのも症状の中でも、頭痛・目の痛みが特にひどい状態でした。このような状況では頭痛や眼痛のツボに鍼をしても、効果が現れにくいことが多いです。 症状を速やかに解除するには、鍼が効きやすい状況を作る必要があります。それが手足のツボに鍼をすることです。 この前半の治療だけでも頭痛の範囲は減り、前頭部の痛みに限定されています。 後半の治療はうつ伏せの状態で、主に背中・後頭部に鍼をして治療完了です。 治療が終了した時点で、頭痛・めまい・眼の痛み・吐き気といった症状はクリアしています。 しかし、まだ不穏な雰囲気は残っています。週明けお仕事の再開に向け、翌日にもう一度 鍼灸ケアです。 2診目で治療完了! 翌日のご来院、前日に鍼した後のコンディションを聞くと、夕方に頭痛・眼痛が再燃したそうです。 めまいを伴うまではいかなかったようですが…まだ体質的に安定しきっていないことがうかがえます。 2診目の鍼灸では、特に頭痛と眼痛を散らす鍼を重点的に行いました。 攅竹(さんちく)申脈(しんみゃく)と風池(ふうち)丘墟(きゅうきょ)のツボがよく働いてくれました。 申脈に鍼しているところ。申脈は頭痛だけでなく、頸肩部の痛み、腰痛の治療にもよく使用するツボです。 風池に鍼しているところ。頭痛や肩こり・目の症状の治療によく使用するツボです。 前回の鍼との違いは、「痛みを取る治療」と「疲れを癒す治療(=元気を補う治療)」の比率を変えた点にあります。 2診目では痛みを散らす治療の比率を上げて、補う治療の比率を下げています。 1診目の治療である程度の補給は終えているので、2診目では痛み対策に集中することができるのです。 前回の治療効果が活きている状態で鍼灸治療できるのは、2日連続でご来院いただくことのメリットです。 週が明けて・・・頭痛・眼痛は!? メールをいただいたところ、頭痛・眼痛は現れておらず。 お仕事もなんとかこなせているようです。 定期的に通院していただくことが理想なのですが、この方のように「ここぞ!」という時に短期集中で鍼灸を効かせる!という通院スタイルも当院では受け付けています。 当院の東洋医学的な鍼灸ケアを希望される方は 電話予約はコチラ0721-53-6330 メール予約はコチラ