Tag: 東洋医学
-

脳出血後の半身まひの鍼灸治療カルテ
脳内出血後の片麻痺 今回の症例は70歳代の女性の方。 脳内出血の後遺症で右半身麻痺(片麻痺)となってしまった女性の鍼灸治療です。 初診問診で感じた尊敬の念 初めて来院されたのは2020年の8月のこと。今から4年ほど前のことです。 この症状の発端となった脳内出血は2020年春のこと。病院で意識を取り戻したときには右上肢の感覚を失っていたそうです。4カ月間の入院中、感覚が無い上に、さらに右半身全体に痺れが強くなったそうです。 右半身麻痺のほかにも… ・右足裏・右腰背部に重い何かが詰まるような感じで苦しい。 ・足裏は立つとき、歩くときに、皮膚の裏になにか挟まっているような異物感・不快感。 ・右足の指が勝手に動き出す(不随意運動) …という、自分の体なのに、感覚とは全く違い現状に戸惑い不安になっているご様子。 問診中に『この人は偉いな~、強い方だな~…』と思ったことがあります。 このようなツラい状況の中でも、言葉遣いが丁寧で穏やか、お人柄もものすごく柔らかいのです。 よほどの内面が強くないと、このような態度で人と接することは難しいものです。 柔和な表情や言葉づかいで現在の状況を伝えてくれる姿勢に、自然と敬意を覚えたものです。 初診以来、コツコツと通院を継続してくれ、日々に感じられる身体の改善・症状の軽減を伝えてくれました。 東洋医学でみる半身麻痺の体質と治療効果 この方の症状には次のような特徴があります。 ・気温の影響を受けて悪化する ・湿度の影響を受けて悪化する ・症状悪化により精神的な不安を伴う 「精神的な不安が伴う」とは書きましたが、この方には持ち前の“芯の強さ”があります。 一時的な症状悪化に直面しても、そのつど身体症状の変化の理由を丁寧に説明すると、落ち着いて聴いてくださり笑顔を見せてくれました。 もちろん、鍼灸治療でも相応の効果を示しています。 ・鍼灸治療で右半身の重く詰まった感じは軽減する ・頭が詰まった感じも治療後はとれる ・右半身全体の強ばりもゆるむ 以上の変化を実感しているからこそ、コツコツと通院してくださっているのだと思います。 鍼灸師のためのワンポイント情報 この方の病態を次のようにとらえています。 麻痺により、右半身における氣血の巡りが極端に低下。 そのため右半身全体の陽虚が顕著となり、湿痰の蓄積、外寒・外湿の影響を受けやすい状態となっている。 また寒邪は体を強ばらせ、湿邪は重く滞る性質をもつ。この寒湿のため、体が強ばり重く動作困難となり、半身麻痺が悪化したように感じる。 しかし、鍼灸治療で陽気を巡らせ、寒湿を取り除くことで、身体は柔らかさを取り戻し、重さは減り、動きやすくなる。 大きな治療方針としては、補気補血に祛湿行氣を加える。 陰経に補血(足太陰が主)、陽経に行気(手足陽明少陽が主)。 祛湿には主に陽明胃経を使います。 背部では右側の胆脾胃三焦兪に湿邪留滞の膨隆が見られるため、その部位を中心に祛湿・行気を鍼灸にて行います。 しかし、鍼治療後は心身ともに軽くなるのですが、日数を空けると症状が戻ってくる…といった状態が続いたのも事実です。 それでもこの方は私の治療を信じて通ってくれています。その姿を見るたびに『もっと良くなるように鍼をお灸を!』と思ったものです。 心動かされた言葉! 最も直近で心を動かされたのは、2024年の最初の治療のときでした。 今年初の会話が「先生、わたし箱根駅伝をみて感動しました。私もマラソンできるように走れるようになりたいです!」との言葉でした。 昔のようには歩けない状態で「走れるようになりたい」という言葉は、普通の人からすると「なにを無理なことを…」「まずはちゃんと歩けるようになってからね」などと思うかもしれません。 でもそのとき私はN山さんの言葉に素直に感動したのです。 『嗚呼、この人はまだまだ諦めずに上を目指しているんだな~』 『さらに良くなる時がくるぞ』と。 なので、素直に応援できましたね。 「N山さん、走ろうと思ったら、足の回復だけじゃない。腕の振りも大事です。今日から腕も振ってみようか!」と、上の目標に向けて盛り上がったことを今でも覚えています。 大きく変化をみせたのは2024年の春 そんな中、この春に大きな変化がありました。 2024年、4月某日の治療で私の顔を見るなり 「先生、私の脚が軽いんです!」と明るい声で報告してくれたのです。 にわかに信じられなかったのですが、運動困難であった右下肢をひょいひょいと挙げて見せてくれるのです。 「もう右脚が先に先にと動くんで、左脚がビックリするくらいです」と、コロコロ笑う姿に、私の方が癒される思いでした。…
-

阪大の特任研究員として…
阪大病院の総合診療内科にて鍼治療 院長の足立繁久です。 私は2018年4月から、週に一度、大阪大学付属病院(吹田市)に通っております。大学病院に通うと言っても病気ではありません。阪大附属病院にて鍼灸治療を行うために通っているのです。そのため当院では毎週木曜日(午後)は休診となっております。 写真:大阪大学医学部附属病院。一階の総合診療内科(写真右下あたり)で漢方鍼灸外来を行っています。 写真:医師スケジュール表に院長(足立繁久)も名が。他のドクターの名は加工して伏せております。 癌と自己免疫疾患に対する鍼治療、その効果は… 阪大附属病院の総合診療内科の漢方鍼灸外来にて、主に癌治療の患者さんや自己免疫疾患の患者さんに鍼治療を行っております。その目的は漢方との併用治療によって、その治療効果を向上させる…というのが狙いです。 写真左:電子カルテを使う経験も良い勉強になりました。写真右:後ろの青い診療ベッドで鍼しています。 実際に鍼治療をしてみて、癌治療の副作用に対する鍼治療の効果は患者さんからも好評で、私自身も手ごたえを感じる程です。 とくに抗癌剤・分子標的薬の副作用や自己免疫性疾患による諸症状を緩和させるのに鍼治療は有効であると私自身も自信がもてるようになったのは大きな収穫でした。 しかし阪大附属病院の総合診療内科の一室にて、鍼治療を行うのですが、「経絡の名前」や「衛気・営気とはね…」など、東洋医学の専門用語を使って症状説明や鍼治療の解説をするのですが、大学病院の一角でその光景が繰り広げられるようすは、なんだか不思議なものがあります。 大学病院で鍼治療するようになった経緯は… 阪大附属病院で鍼治療するようになった経緯は“漢方の勉強会”です。大阪市で月一回開催されていた漢方の勉強会に参加しており、そこで漢方医の先生(萩原特任教授)と知り合い、医局への勧誘を受けたことが大きなきっかけです。 とくに萩原先生(特任教授)の研究領域は、漢方薬の研究(牛車腎気丸とフレイル)だけでなく、癌治療(癌ケトン食療法)やレジリエンスなどと多岐にわたります。さらに萩原先生は鍼灸治療に対する理解も深く、漢方や癌治療に鍼灸を組み入れるべく、私(足立)を勧誘し、臨床試験の機会をいただいたわけです。 所属する医局(講座)は、大阪大学大学院医学系研究科 先進融合医学共同研究講座。この医局(講座)には「特任研究員」として2018年より所属しています。 写真:所属する医局はこの大阪大学・最先端医療イノベーションセンター棟6Fにあります。 この医局(講座)にて「大阪大学医学部附属病院漢方内科における鍼灸治療の有効性と安全性の検討」という研究テーマで臨床研究を行っています。 所属する医局(講座)に関する情報 以下に、先進融合医学共同研究講座のHPに書かれている「研究課題名」をはじめ、関係情報を引用しておきます。 【研究課題名:大阪大学医学部附属病院漢方内科における鍼灸治療の有効性と安全性の検討】 【研究の対象】:2018年4月~当院で鍼灸外来を受けられている方 【研究目的・方法】 大阪大学医学部附属病院漢方内科では2018年4月より週一回、はり師・きゅう師による鍼灸外来を試験的に開始しています。鍼灸治療は、一定の臨床効果を有し、患者のQOLを改善する効果を有すると期待され、頭痛・肩こり・腰痛や冷えなど自覚症状の強い症状の緩和に使用されることが多いですが、現状では、鍼灸治療はあくまで補助的な存在と考えられています。しかし、海外においては、鍼灸治療は米軍医療施設でも行われており、ドイツでは変形性膝関節症患者1007人を対象にしたランダム化比較試験が行われその有効性が報告されています。一方、日常において鍼灸治療が盛んにおこなわれている我が国では、残念ながら、基幹病院で基礎疾患を有する患者における有効性の検討はほとんどありません。そこで、今回我々は、本院漢方内科で行われている鍼灸治療の現状を後ろ向きに検討させて頂き、鍼灸治療の有効性と安全性を検討したいと考えています。 そして「先進融合医学共同研究講座」の説明文も。 超高齢社会を迎えたわが国は、介護・寝たきりの問題や癌患者の増加の問題に直面しています。一方、医療費の伸びは期待できず、これらの問題解決に向けた新たなアプローチが必要とされています。我々は、漢方腎虚概念をヒントに、フレイルを引き起こすサルコペニアや慢性疼痛に対し、牛車腎気丸が効果を示すことを分子生物学的に明らかにし、更なるエビデンス構築や新たな臨床応用を目標に研究を行っています。また、漢方における医食同源の考えを基に、癌ケトン食治療の臨床研究を国内で初めて行い、その臨床効果が高い注目を集めています。我々は、先進医学と伝統医学を融合させた新たな融合医学を構築し、超高齢社会の問題解決を目指します。 とあり、近年社会問題となっている問題、「フレイル」そして「癌治療」に関する研究、そして「レジリエンス」を研究テーマに挙げていることに非常な先見性と大きな意義を感じます。“先進融合医学共同研究講座”という名の通りです。私も鍼灸師として、鍼治療が近代医療に貢献できるよう、しっかりと精進してまいります。 医局【先進融合医学共同研究講座】の外来担当表になります。
-

吐き気を伴う眩暈(めまい)の鍼灸カルテ
この春に多い?眩暈(めまい) 先日、眩暈の鍼灸カルテを紹介しました。この春は例年よりも体調を崩される方が多く感じます。その中でも眩暈は多くみられる症状のように感じています。 そんな中、今度はわたしの母親(同居中)が突然に眩暈(めまい)を発症しました。もちろん、すぐさま鍼灸で対応したわけですが、そのときの鍼灸カルテを紹介します。 実は私の母は眩暈(めまい)を起こしやすい体質を持っているため、私が大阪に帰ってきた時分は何度も眩暈(めまい)を起こしていました。いわゆるメニエール病の診断を受けていたようです。 最も記憶に残る眩暈(めまい)では、兄の結婚式当日の朝に眩暈を起こしたこともありました。すぐさま応急処置的に鍼して、その日は無事に事なきを終えましたが…(おそらく、母本人はそのことを忘れているハズ) それからも繰り返し眩暈を起こし、そのたびに鍼とお灸で対処してきました。そのせいか、この10数年は母が眩暈(めまい)を起こすこともなくなり、私にとっても眩暈(めまい)は得意な疾患の一つとなっています。 さて眩暈の鍼灸カルテといきましょう。 鍼灸カルテ・眩暈 2024.04 主訴:めまい 発症時刻は4月3日 AM6:00くらい 朝起きるなり、突然の眩暈(めまい)に襲われた。 また、眩暈とともに吐き気を伴う。寝返りしても眩暈が起こるので、ただただ目を閉じて、布団の中でジッとする。(目を閉じても眩暈・吐き気はしばらく続く) 眩暈がおさまるまで目を閉じて床に臥せる…のイラスト 父からの報告を受け、家庭内往診。すぐに寝床にて治療を始めます。まずは脈を診ます ◇脈診情報 沈んだ脈で極めて弱い脈 また、その弱い脈の中にも小さな滑脈がみられる。 そして意外なことに、脈位(寸関尺)の差異はみられない。 症状の特徴、脈診情報、そして普段の母の体質から…次のような治療方針をたてます。 ◇治療方針 ①…中氣を補い、膈を開く(補中・利膈) ②補脾胃によって①を補助。かつ利水祛湿 ③宿(腎虚)に対する補裏気および納氣 治療はお灸からはじめ、次に鍼治療です。 使用した経穴は、中脘・関元・鳩尾・足三里・陰陵泉・太谿……など(他は門外秘)です。 この治療によって寝返りが可能となります。 眩暈(めまい)に対する鍼灸は、このように効果がすぐに現れるケースがしばしばあります(もちろん個人差・体質差はあります)。眩暈のように「突然に発症し、何をしてもツラい…!!状態を速やかに解除できる」というのは鍼灸ならではの長所だと思います。 寝返りができるようになったので、次は伏臥位(うつ伏せ)にて背部治療を加えて、さらに症状の軽減を狙います。 一連の治療によって、起床可能・起き上がることもできるようになりました。 とはいっても、しばらくは要安静であること。そして排尿頻度が増えることを伝えておきます(利水の治療をしたので、尿の回数が増えるのです)。 2診目は二日後の4月5日 (※4/4は大学病院勤務の日で、半日は留守にしていたのです…と言い訳) 主訴:眩暈(めまい)はほぼ消失。フワフワ感じが少し残るくらい。 経過は良好のようで、軽い食事も摂れている。 起き上がり、二階まで歩いて上るなど、屋内や近所までの近距離歩行なら問題ないとのこと。 また初診の鍼治療の後は、やはり尿がよく出たとのこと。 ◇脈診情報 全体的に沈んだ脈は変わらずだが、緩脈が入ってきて、滑脈もみられる。 両関上脈は弱脈が残る(左<右) 寸口脈にも弱脈が残る。 関上と尺中の一部に緩脈がみられる この脈診の情報が、初診時と2診目で大きく変化している点がポイントなのです。 脈診所見は初診時と大きく変化しているとはいえ、これは良い変化であり、想定内のこと。ですので、治療方針は前回と同じでいきます。 一連の治療によって、フワフワ感も消失。 眼の力も増し、目に輝きが出る。 (いわゆる目ヂカラです。この目の力の有る無しって意外と大事な所見です) 治療後の脈診所見は、母の通常脈に戻る。 以上をもって、眩暈の急性期を脱したとみなし、通常の養生期に入ります。普段から親孝行の鍼お灸をしなさい!ということでしょうね。 院長 足立繁久
-

眩暈(めまい・頭重感)の鍼灸カルテ
春に多くみられる眩暈(めまい) 今年の春は眩暈(めまい)を訴える患者さんが多いように感じます。 春季は五行でいうと「木」に属します。また五臓では「肝」に相当します。そして「木」とは「伸びる」「上昇する」といった性質を持ちます。 イラスト:五行の木・火・土・金・水 そのため「春」になると、冬の間に沈滞していた気を一気に上昇させて、春の陽気を活性化させるのです。人体の臓腑では「肝・胆」という器官に属しますが、やはり「上昇」させる性質を持ちます。 この「上昇」が一気に起こることで「眩暈(めまい)」の他にも「頭痛」「目痛」「耳鳴り」などの上部における体調不良がみられるのです。 気候の変化も不安定となる春先、それに影響を受けて人体のコンディションも不安定となるのです。いわゆる季節の変わり目にみられる体調不良・不定愁訴です。病院によっては“自律神経失調症”と診断を受けることもあります。 先日(3月下旬)にも、めまいを訴える女性(70歳)が来院されました。東洋医学ではどのように診断して治療するか?当院の眩暈の鍼灸カルテを紹介しましょう。 眩暈の鍼灸カルテ 主訴:フラフラ・フワフワするタイプのめまい 他にも頭目がボ~ッとする。頭重感。眼の奥が痛い…などの随伴症状もある。 めまいの発症は、朝10時すぎ。鏡を見ると、上眼瞼(まぶた)が脹れぼったい。 それが気になり、眼をゴシゴシこするうち、頭全体にも重くなり、フラフラ・フワフワめまいが始まったとのこと。 「体調が悪い時は足を温めたらよい」と聞いたことがあったので 両足を温めたところ…上半身全体がゾワゾワ~と薄ら寒いような感覚(悪寒ほどではない)が、上へ上へと昇ってきたとのこと。 「こんな気持ちの悪い感覚は病院で言っても伝わらないと思い、足立先生のところに来ました」とのこと。この言葉に気を良くして、早速診察に入ります。 東洋医学の診たてでは… 当院では東洋医学的な診断を行いますので、脈診や腹診で病気の性質を見極めます。 写真:当院でおこなう脈診 さてこの女性の脈はどのような脈かというと… 全体に沈んで緩脈が目立ちます。しかし所々に濇脈や滑脈といった特徴的な脈状が現れています。 脈診で得られた情報は、主に湿邪(いわゆる水毒)に関わるものです。どうやらこの眩暈は湿邪が主となり発症したようです。では、この眩暈は「木」や「肝」とは関係ないのか?というと、そうではありません。 問診情報の中に「木」に関する情報がちりばめられています。 脈診と問診を総合的に分析(合参)して、治療方針を導き出します。この女性の眩暈に対する治療方針は次の3つ。 ①中気を補い、膈を開く(補中・利膈) ②脾経・胃経に鍼することで、①の補助をを行いつつ、胃の停滞を解消 ③上部の気をめぐらしつつ、下部に気を引き下ろす。 脾・胃・腎に関わる経穴に鍼治療・お灸をすることで、利水を促します。この利水によってめまい症状の主犯である湿邪を取り除くことが大きな狙いです。 使用した経穴のいくつかを挙げると…〔中脘・足三里・陰陵泉・太谿…(他は門外秘)〕など。これらの経穴はよく知られる経穴です。 もちろん、うつ伏せになり背部経穴へも鍼・お灸を行います。 背中にはり治療を受ける女性のイラスト ひと通りの治療を終え、脈診でチェックします。 すると…問題視していた緩脈・滑脈・濇脈がとれて、全体に張りのある伸びやかな脈状に回復しています。 実際の体調を確認しても、めまい・眼の痛み・頭重感もとれたとのこと。 気分的にもずいぶんとスッキリしたようすで、視界も明るくなったといってくれます。 念のために来週も治療にきます!と言って、満足げに帰宅されました。 2診目の問診で聞くと、あれから眩暈が起こることもなく、胃のムカムカが少し残る程度のコンディションとのこと。 もちろん、湿邪の停滞はしっかり確認できたので、根本的な体質改善ということで2診目の治療もキッチリと鍼お灸をしておきました。 以上、この春に多くみられた眩暈(めまい)の鍼灸カルテの一つを紹介させていただきました。 院長 足立繁久
-

双子の妊婦さんへのプレママ鍼灸 診療録
先日、無事に双子の出産を終えた方が安産の報告に来てくださいました。私は治療の最中だったため、残念ながら対面できず…(残念!!)。 この方(Kさん)が来院されたのは妊娠中期(18週)のとき 「多胎妊娠のため体調ケアが必要」 「上に1才10ヶ月の子どもがいるため、早期入院は避けたい」 「なによりできる限りの安産の準備をしておきたい」 とのこと。 すでに当院の治療開始時で ✓ つわり(吐き気) ✓ 身体の重さ ✓ お腹の張り ✓ 腰痛 ✓ 冷え などの諸症状が出ていました。 また「お腹の張り」「腰痛」などはこれから一気にお腹が大きくなりますので、今のうちに軽減させておく必要があります。 当時のカルテを見なおすと、二診目のときに鍼治療の感想として… 「治療後はスッキリして体も軽くなり、スタスタ歩いて家まで帰れた。」 「その姿に家族もビックリ。」 「ムカムカも治まっている!」 と、Kさんの驚きを表わす言葉が残っています。 このときに当院のプレママ鍼灸の効果を実感していただけたのでしょう。コツコツと通院してました。 多胎妊娠ともなると、母体にかかる負担も倍以上となります。またKさんは上の子の育児もあるため、その疲労や負担は相当なものと考える必要があります。 ですので、コツコツと定期的に通院くださるのは、治療する側としても本当にありがたいのです。 そのおかげもあって、結果的に2人とも自然分娩で済んだのは心からホッとしました。 なによりも38wkまで入院せずに済み、ギリギリまで上のお子さんとも一緒にいることができたと言ってくれたのも嬉しかったですね。 (もちろん、母子保健センターに定期的に検診通院していましたよ。) もちろん、途中には双子の子のうち一人の“発育不良”、二人とも“逆子”などの悩みもありましたが、それらの問題にも東洋医学的なプレママ鍼灸でサポートし続け、なんとか無事に経腟分娩でお産を乗り越えることができました。 なにより当院でのプレママ鍼灸ケア最終日は忘れらないものがあります。 Kさん「今回の妊娠ではこんなに元気ですごせたのは先生たちのおかげです。」 私たち「そう言っていただき、ありがとうございます」「無事のお産を祈ってますね。」 と、こんな言葉を交わして当院を出ていくときのKさんの姿は今でも思い出すことができます。お互いにウルッときてましたから。 その後、お電話にて2人のお子さんともに経腟分娩で行うことができました。との嬉しいご報告をいただいたのは何よりもうれしかったですね。
-

足立鍼灸治療院に海外研修生が!from USA
先日7/18~20(木~土)の3日間、当院に海外からの研修生が訪れました。 研修生の名はMahtab先生、彼女はアメリカの鍼灸師さん。免許取り立て(だったかな)とはいえ、鍼灸学生さんに家庭教師もしている優秀な方です。 紹介者は前田篤希先生。お二人はご夫婦なのです。 なので、前田先生が通訳を、Mahtab先生が学び、当院インチョーこと私(足立)が脈診・腹診をレクチャーするといった形。 前田先生とお会いするのは1年ぶり。去年に京都で行われたJapanese Acupuncture study-abroad tour で一日講師として呼ばれ、前田先生はそのツアーの引率者・翻訳・総講師として活躍された方なのです。 さて、お二人が日本に到着したのが水曜日の夜。関西空港にお迎えに行ってきました。(普段、英語を話す機会がないのでMahtab先生に挨拶するだけでちょっぴり緊張しました…笑) まず初日・木曜日は当院の午前診もそこそこに、午後から阪大病院(大阪大学医学部付属病院)に移動。阪大病院の漢方鍼灸外来の臨床治療も見学してもらいました。実はインチョーは毎週木曜の午後、阪大病院にて癌疾患・自己免疫疾患の患者さんに鍼治療をしているのです。 写真:漢方鍼灸外来の研修終了後、医局にて記念写真 翌日・翌々日(金土)は、もうつきっきりで臨床現場にて脈診腹診の指導。 脈診と腹診の基礎・応用のひと通りは伝えました。私が主宰する会(鍼道五経会)で、この内容を学ぶには1~2年かかります。Mahtab先生は本当に優秀な方でした。 写真:小児脈診を行うMahtab先生 写真:小児腹診を行うMahtab先生、子ども達は美しいMahtab先生に見とれているよう。 Mahtab先生は英語だけでなく、母国語のペルシャ語・ドイツ語そして現在は日本語も習得中のクァドリンガル。やはり異文化を学び吸収するというキャリアが、東洋医学や技術の人一倍はやく習得できる基となっているのでしょう。 でも、こうして振り返れば時差調整もせずに、よくついて来てくれたものだと思います。お互いに本当によくがんばった3日間でした。 写真:研修終了後に皆で記念撮影(やっぱり皆ヘトヘト感が隠せないかも…) 当院での研修を終えた後は日本の旅を楽しむべく、京都市に行くとのこと。疲れた状態で大きな荷物を抱えての京都までの週末移動は本当に堪えます。ということで、皆で京都市までドライブです。 そして京都市で本当にお別れ。『Youは何しに日本へ』『ウルルン(古い?)』みたいな別れ際でしんみりとしました。 足立繁久
-

苦しいムズムズ脚症候群と鍼灸ケア
ムズムズ脚症候群とは ムズムズ脚症候群は正式にはレストレスレッグス・シンドローム(restless legs syndrome:RLS)ともいいます。その大きな特徴をあげますと以下のようになります。 足が痛くてジッとしていられない・眠れない 痛みが続くとイライラする 足の痛むところを叩きたくなる 不快感がひどく、虫がはうような感覚も起こる 同じ部位に起こる(多くの場合はふくらはぎや足の付け根など) 夜になると足が痛い・ムズムズするなどの症状が起こる ジッとしていてもムズムズ症状が出てくる このムズムズ脚症候群は、妊婦さんや産後の女性によく起こりますが、お子さんや男性にもみられることもあります。足の不快な鈍痛をはじめとするムズムズ症状が毎日・毎夜つづいて、苦しむ方は少なくありません。 実はあまり知られていないことですが、鍼灸はムズムズ脚症候群とは相性がよくといえます。その理由も踏まえて、以下にムズムズ脚症候群に関する情報を紹介しましょう。 ムズムズ脚症候群によくみられる症状パターン ジッとしてられない不快感は、なんとも言い表すことが難しく、人によっては鈍痛、虫がはうような感じ(蟻走感)、ほてる、しびれる等、症状の感じ方にも個人差が大きいのが特徴です。 ムズムズ症状が起こる部位は脚部によく起こります。 特に“ふくらはぎ”が多いですが、膝下の外側や前側(すねの横)や臀部(股関節の外側)、他にも土踏まず・足の小指・薬指(足の第4、5指)の間などにも症状を訴える人は多いです。 さらに悪化すると膝より上、さらには手や腕など、上半身にも症状は拡大するケースもあります。 またムズムズ症状が起こるタイミングとしては、夜間の発症が圧倒的に多いですが、症状が進行するにつれて、日中でも安静時に起こるケースも少なくありません。 子どもにもムズムズ症状がみられる 大人だけでなく、お子さんにもムズムズ症状が現れることがあります。 ムズムズ症状は安静時に現れるのが一つの特徴です。そのため、お子さんの場合ですと授業中にムズムズ症状が起こり、授業に集中できない、先生や周りの友達の理解が得られないなどの問題もあります。 ムズムズ脚症候群に悩まされる人には、妊婦さんや産後の女性が多いですが、お子さんや男性の中にもムズムズ脚症候群に悩まされる方はいます。当院の統計になりますが、最近では小児のムズムズ脚症候群も増えているように感じられます。 東洋医学でみるムズムズ脚症候群の原因 近年では、現代医学でもムズムズ脚症候群の原因や対処法が研究されはじめています。 しかし東洋医学の観点からみると、ムズムズ脚症候群の体質を氣血水の不調和で診断することができます。 ムズムズ症状の原因は、水や血の流れの悪さにあると診ています。 水の流れが悪いと水毒(すいどく)となり、血の流れが悪いと瘀血(おけつ)となります。 この水毒や瘀血が四肢(下肢に多い)に蓄積するため、水毒・瘀血を排除するべく感覚として脳が感じ取ります。 脳が感じ取るレベルの症状のため苦痛の度合いも深く、不眠や精神的に追い詰められるなどの深刻な事態に進行します。 またストレッチ・マッサージで四肢の水分・血液の流れを良くすることでも、ムズムズ症状は一時的に軽くなります。 しかし、水毒・瘀血は体質として根づいているため、体を動かした程度では解決せず、すぐにムズムズ症状は再発してしますのです。 このような東洋医学的な病理に基づいて当院では鍼灸ケアを行い実際に効果を上げています。 ムズムズ症候群の治療 単なる対処療法ではなく、根本的にムズムズ脚症候群を解決するための原因体質を取り除く治療を行います。 ①体力を補給し底上げする治療 睡眠不足や心労(ムズムズ症状による精神的負担)によって治癒力が消耗していることがい多いためです。 ②水毒を取り去る治療 水毒の蓄積度は、個々の条件…例えば飲食・二便(大小便)・運動などにより異なります。 その人にとって最適な水毒除去を見極めて治療します。 ③瘀血を取り去る治療 夜間に決まって起こる症状は、血の不調が関わっていることがしばしばです。 瘀血や血熱などの体質を解除する治療を行います。 ④経絡を通じさせる治療 実際にムズムズ症状を起こしているのは四肢(経絡)ですので、この経絡の詰まりを取り去ります。 これによってムズムズ症状を原因を幹部から直接取り除きます。 以上の治療工程を鍼灸を使って行います。少し専門的な文章になり、イメージしにくいかもしれません。 ですので、次に実際のムズムズ脚症候群の治療効果を診療録風にまとめましたので参考にしてみてください。 ムズムズ脚症候群の治療例 発狂するかと思うほどのムズムズ脚症状が… 不眠とムズムズ症状に苦しむ妊婦さんの鍼灸診療録 当院の東洋医学的 ムズムズ脚治療を希望される方は 電話予約はコチラ0721-53-6330 メール予約はコチラ…