チック症の診療録・年長さんの男の子

大阪市からのお越しのお子さんのチック症、初診は去年のことでした。

年長さんの男の子のチック症の診療録です


初診:9月26日
主訴:チック症…首ふり、ジャンプ、突然大声を出す

半年前(梅雨時期)から頻繁にジャンプや大声(「アッ!アッ!」などの短い発声)が始まる。
(それまでも顔しかめるチックは起こっていた)
夏休み明けからさらに回数が増える。

他の所見
鼻水・鼻づまり
喘息の診断を受けたことあり
甘いものを好む
よく風邪をひく

脈診…浮位で軟脈

腹診…心窩部~胃にかけてのコリが強い

 写真のお子さんは本人ではありません。

鍼灸師の診立て

この子は自由に活動し発散することを強く好むタイプです。
梅雨時期や夏休み明けにチック発症、症状増加する傾向からも、
その要因があるとみています。

それだけにチック症状も活動的で外向きです。
ジャンプや大きな声というチック症状も、その子の性格をある程度の影響を受けています。
そこで治療方針としては、体の中に有り余ったエネルギーを発散させ、蓄積しないようにするツボを使いチック症対策の小児はりを行います。

蓄積したエネルギーをスムーズに発散させる経穴(ツボ)に小児はりを行い、
その後、神経の興奮を鎮める経穴(ツボ)に小児はりをします。

神経を鎮めておくことで、チック症が悪化することを防ぎます

養生指導は、しっかりと汗をかいて暴れること。

この話を伝えると、たいていのお母さんは
「ええーーっ!もう十分すぎるほど暴れてるんですけど…」と言われます。
けれども、大人の(しかも女性の)予想をはるかに上回るのが男の子の運動(必要)量です。

ストレスには発散させることも大事なことなのです。

2診目・声のチックが減る

10月3日(月)
音声チックが減った!
でも夕方~夜の時間帯は声を出している。
顔のチックはまだ残る…とのこと。

音声チックは顔(表情筋)チックと比べて、体の中から出す勢いが強いチックです。
その音声チックが減ったということは体の奥の停滞や詰まりが減ってきていることを意味すると判断します。

治療方針は初診と同じく、体の奥に蓄積したエネルギーを巡らせ発散する小児はりを行います。

2診目は小児はりに加えて温灸も行います。
温灸はご自宅でも毎日できるケアです。
小児はりに来ていただくまでの間も自宅で治療に近いケアを続けることができます。

この子の今の状態に合ったツボ(経穴)をペンで印をつけて温灸点の指導をしてこの日の小児はりを終了とします。

3診目・さらに声のチック減る

10月11日(火)
音声チックは気にならない程度に減った。
首ふり動作も気にならなくなったとのこと。

4診目~6診目・一進一退を繰り返す

音声チックと首ふり動作が交互に起こる。
音声チックが収まると、首ふりが目立ち、
首ふりが収まると、音声チックが目立つ…といった状態とのこと。
他のジャンプなどの大きな動作のチックは消失している。

【鍼灸師の診立て】
…以上のように膠着状態といえる時期はチック症の治療ではよく見られます。
これも治癒ステージのひとつといえます。
チック症の治癒過程のひとつには次のように3つのステージに分けることができます。
治療開始時・中間期・治癒期の3ステージです。
治療開始時は大幅に改善し、目立つチック症状が減ります。
この子の場合は、ジャンプするとか大声を出すことですね。
そして、中間期は膠着状態です。
2種類以上のチック症状を繰り返し、症状のローテーションしながら、
徐々に症状が減っていく治癒期に入ります。

7診目・通院ペースを減らしましょう

11月29日
膠着状態…とは言いつつも、症状の質は減っていっていました。
この日、お母さんからの情報ではなかなか良好な状態で、
音声チックも首ふりも顔チックも落ち着いているとのことですので、
治療のペースを週1回から月2回に減らしましょう、ということになりました。

そして年が明けての1月下旬…

11診目・チック症が無くなった!

1月24日
この日、お母さんから聴いた情報では、チック症状が出ることが無くなったとのことでした。

クリスマス~年末~年始、そして休み明けの通園…と、お子さんにとっては
環境の変化も、内面にかかる負荷も大きくなる時期です。
チック症の変動も起こりやすい時期ともいえるのですが、
この時期を無症状で過ごせたのは大きな収穫です。

ということで、一旦、チック症の治療は卒業。
また、再発した際にはすぐにご連絡ください。
そしてお家での温灸もコツコツ続けてくださいということで治療終了としました。

当院の東洋医学的 チック症治療を希望される方は

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