森野旧薬園を見学

足立鍼灸治療院の奈良研修旅行のレポートも第三弾です。(これで終わります)

森野旧薬園に訪問

大宇陀にある森野旧薬園、ここも以前から訪問・見学したかったスポットです。
この薬草園は「日本唯一の私営薬園」。『森野吉野葛本舗』さんのお店の裏山が薬草園になります。

妻(当院受付)の疲労もピークのため、かなり早足で見学させていただきましたが、それでも多数の薬草管理・栽培している様子が垣間見ることができました。

森野旧薬園に入園!


写真:森野旧薬園に至る門(蓬門 今始めて君のために開く)と書かれているらしい

門をくぐるなり、左側の大きな鉢にオケラの花が咲いていました。オケラは生薬名を朮(じゅつ)を言いまして消化器系の機能を助ける働きを有しています。当院の花壇にもオケラを植えていますが、薬園のオケラの方がなんだか立派に感じます。


写真:オケラ・朮の花

樹齢300年のサンシュユ

山を登ると中腹には大きなサンシュユの樹が。なんと!1729年に八代将軍、徳川吉宗(暴れん坊将軍のシンさんですね)からいただいたというサンシュユ(山茱萸)の樹だとか、樹齢約300年ともいえる老木です。


写真:サンシュユ(山茱萸)の樹

階段を上り切ると高台があり、そこは薬草を栽培する畑になっていました。

オウレン三姉妹

その畑のひと畝(うね)にはトウキ(当帰)が植えられていました(下写真の左)。青々とした力のある葉が印象的でした。奈良県は大和当帰(ヤマトトウキ)の産地で有名なところです。
そしてトウキ(当帰)は婦人科系の薬によく用いられています。当帰芍薬散や加味逍遥散にも、そして前記事に紹介した中将湯にも用いられています。

   
写真:トウキの畑(左)と、セリバオウレンの畑(右)

さらに他の畝にはセリバオウレンが植えられていました(上写真の右)。オウレンといえば、NHKの朝ドラ『らんまん』にてバイカオウレンが登場していましたね。どちらもオウレンの仲間で、セリバオウレンはその葉がセリの葉(芹葉)に似ているため、セリバオウレン(芹葉黄連)の名がつけられています。

畑の向かい側には鉢植えされたオウレン三種が。三兄弟というよりも可憐な花をつけるのでやはりここは三姉妹と呼ぶべきでしょう。
キクバオウレン、セリバオウレン、コセリバオウレンの三姉妹です。


写真:オウレン三姉妹

イカリソウ・クサノオウ・クコなど

他にも薬草畑に栽培されていたの以下の植物。イカリソウは生薬名を淫羊藿(いんようかく)といい、この草を食べた羊がとっても元気になったことから、その薬効に注目され、強精薬として用いられるとか。山野草としても人気があり、乱獲が危ぶまれる種です。

   

写真:イカリソウ(淫羊藿)・クサノオウ(白屈菜)

クコの実は生薬名を枸杞子(くこし)といいます。中華料理食材にも用いられます(例、杏仁豆腐の上に乗るヤツ)。また薬用としては枸杞の根っこ(地骨皮)も用いられます。
当院の花壇にも植えていますが、毎年虫害にやられて葉っぱがほとんど食べられてしまうのです…しかし、それでも枯れないという生命力の強い植物です。当院近くの土手にも自生しているクコを時折り見かけます。


写真:クコの実(枸杞子)

ヒキオコシ(延命草)・リンドウ

ヒキオコシは延命草ともいい、かの弘法大師さまが病に倒れた旅人に延命草の汁を与えたところ、たちどころに回復した!という逸話があり、そこから「ヒキオコシ(引き起こし)」「延命草」というありがたい名前になっているのだとか。陀羅尼助丸にも会社によってはヒキオコシを使用されていることがあります。(ちょこっとだけ陀羅尼助丸に触れている当院記事はコチラ

 
写真:ヒキオコシ(延命草)とリンドウ(竜胆)の花

実際にもまだまだ記事にて紹介できていない薬草もたくさんあるのですが…

そろそろ限界かっ!?


写真:テンダイウヤクと薬草には目もくれない妻

どうやら妻(当院受付)のモチベもそろそろ限界のようです。
無理もありません。
曽爾高原を登り、「薬の館」にも付き合ってもらい、さらに小山を登って薬草園見学にもついて来てくれたことに感謝せねばなりません。この感謝の気持ちを伝える手段は、ただひとつ。“迅速な撤退”に尽きます。

ああ、それでもまだまだ見たい薬草、まだ足を運んでいない薬園エリアもあるのですが…。
できるだけ明るく「また来ようね」と伝えたところ、、、
「次はあんた一人で行ってね♪」とつれない返事が返ってきましたとさ。

  
写真:黙々と山道の階段を下りる妻…

トリカブトの花が咲いてるよ~

帰り路に山の斜面にてトリカブトの花を見つけました!
妻の気を引こうと
「トリカブト咲いてるよ!サスペンスとかに(服毒殺人に)使われてたヤツだよ~~」と、先行く妻に伝えたのですが…
私の声は空しく林の中に消えていったのでした…(笑)


写真:ひっそりと咲くトリカブトの花

トリカブトの生薬名は附子(ぶし)。毒を弱めて薬用に用いられます。体を急速に温めたり、痛みを鎮めたりする効能があります。

実際にはかなり早足で園内を見学したため、正直言うともう少し詳しく見たかったですね。とくに薬草栽培の様子などを勉強したいものです。というのも当院・玄関前の花壇でも薬草を植えております。

例えば、当院でもオケラ・イカリソウ・クサノオウ・クコは植えているのですが、やはり森野旧薬園さんの薬草の方が立派!!(当たり前ですが)
その栽培環境、土とか日照条件とか…だけでも見ておきたかったな~と記事を書きながら反省中であります。

曽爾高原のススキ情報と足腰の健康情報 ≪ 宇陀市歴史文化館 薬の館に見学 ≪ 森野旧薬園を見学

 

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