よだれつわりと吐きつわりの診療録

2年ほど前のよだれつわりと吐きつわり 2つのつわりに苦しむ妊婦さんの症例を紹介します。

この方は大阪府貝塚市在住の2児のお母さん。
一週間で4㎏の体重減少と、治療開始時はかなり消耗が激しかったですが、
嘔吐減少、吐きつわりの改善、尿量増加、よだれつわりの改善…と、
段階を踏んで体質改善と症状消失に結び付けることができたケースです。

お問合せは次のようなメールから

今回3人目、4回目の妊娠です。
過去三回の妊娠よだれ悪阻と妊娠後期まで吐きつわりに悩まされました。
家ではゴミ箱を抱えて生活しました。
そして今回6週に入るところで、よだれ悪阻がはじまってしまいました。
4歳、2歳の子守をしながらのよだれは辛すぎます。

まだ病院にもいっておらず、(8週に入ってから行こうと思っています)
早めに治療すれば早めによだれは治るのでしょうか?
贅沢を言えば、8週から12週にくる酷いつわりを避けたのですが…。
早めの治療が効果的なのであれば、すぐにでもそちらを受診したいです。
宜しくお願いします。

初診カルテ・固形物は口にできない…

11月24日
主訴:よだれつわり、吐きつわり

【問診情報】
病院で点滴を受けるが、つわり症状は一向に治まらず。
このつわり症状を何とかしてほしい…との依頼。
口にできるものは限られている。
固形物は基本的に無理で、果汁、水分…といったところ。
他の飲食物は一切 受け付けられない。
飲まず食わずのため、この1週間で4㎏減少。
そんな状態なのに唾液は過剰に分泌される。
唾液を吐き出すため、ノドは乾燥してしまう。

鍼灸師の診立て

 写真はイメージです
■脈診…右寸口に滑脉、他の部位は沈位細

■腹証…心窩部の詰まり、臍下の弱わり

脈診・腹診から上半身に水と熱が詰まってしまっている状態がわかります。
さらに水と熱とが逆流しようとするので、よだれつわりと吐きつわりがダブルで現れてしまうのです。

また、臍下(下腹部)の所見から、母体の弱り・消耗が判断できます。
つわり治療よりも先に母体の元気を補充しなければいけません。
でないと、つわり治療の効果が表れにくいどころか、
母体の体力が持たない状況になってしまう可能性があるのです。

◆治療方針
1、安胎
2、脾胃の弱りをたてなおす

母体の消耗が激しいため、いきなり強いつわり治療はできません。
そのため体力を補い、赤ちゃん(胎児)の安全を最優先とするため、
安胎効果のあるツボ(経穴)に施術します。
次に消化器系の力を増すために、弱ってしまった脾胃(消化器系)を建てなおす治療を行います。
吐き気・嘔吐が起こるということは脾胃(胃腸・消化管)が常に逆流を起こしている状態です。
その逆流を鎮めて、胃腸の力を正常に戻す治療を行います。

(脈診腹診問診などに15分、治療時間に40分を要した。)

2診目
11月27日
初診と同様の治療を行う。
2診目からは、診察に10分、治療に50分とし、
置鍼(ウトウトしながら鍼を受ける)を織り交ぜて、
とにかく安静に休んでいただき、少しでも体力の回復を進める治療をとしました。

体重減少がようやく止まる…3診目

12月4日
体重減少の一途であったのが、最近ようやくストップして1㎏増えた。
嘔吐というより胃液のこみ上げる症状
唾液つわりは変わらず。

【鍼灸師の診立て】
つわり治療をしっかり効かせるためにも、体力が必要となります。
その力の目安の一つが体重であり、食事です。
体重減少が止まり、増加に転じたことは体力回復の兆しといえます。
ここから食欲も増してくると、つわり治療の割合も増やせるようになるのです。

嘔吐が減ってきた!4診目

12月11日
嘔吐は減った!
リンゴも摂れるようになった。

【鍼灸師の診立て】
治療方針に“水毒を取り去る”を加えます。
安胎の治療を行い
脾胃(消化系)を建てなおして、
さらに水毒を取り去ることでつわりの吐き気・嘔吐を減らします。
水毒を取り去る治療は早期にできなかった理由は、体重減少です。
体重が増えることで、治療の内容を増やすことができます。
ここから症状改善に向けて挽回していきます。

嘔吐は目に見えて減る・5~6診目

12月25日、29日
嘔吐は目に見えて減り、食欲も増える。
食べれるものの種類が増えた!とのこと。
但し、唾液の減少はまだまだ…

【鍼灸師の診立て】
食欲が増えたことから、水毒除去の治療を増やします。
嘔吐が減少したことから、胃の逆流が治まったと判断できます。
ここから治療の照準を吐きつわりからよだれつわりに絞って、
積極的に水毒を除去する治療に切り替えます。
水毒を追い出す経路は汗・便・尿ですが、
この方の体質から排尿という経路で水毒除去を目指します。

尿量が増えた!?7~8診目

1月8日、15日
1日の尿量が増えた!水毒が体の外に出ていっている感じがする。
それとともに、唾液が日に日に減り始める。
ただし、食事後は唾液が増える気がする。

唾液がほとんど治まった!9診目

1月29日
唾液はほとんど治まった。
仕事のための1日講習会(大阪市内)にも電車に乗って移動でき、最後まで受講できました!とのこと。

他にも、吐きつわり・よだれつわり共に治まり、
通常の生活(家事・育児)を送ることができるようになりました。

お仕事の講習も片道40分以上かけて参加し、
午前から夕方までよだれつわりの症状も無く、
受講できることができるようになりました。

あとは自宅でお灸を続けてもらいながら養生してもらう方針に切り替えて、
めでたくプレママ鍼灸を卒業!としました。

当院の東洋医学的つわりケアを希望される方は

電話予約はコチラ0721-53-6330

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