インチョーの足立です。今年も当院玄関先にてミニ田んぼを作りました。
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なぜミニ田んぼをはじめたのか?
義父が高齢のため田んぼを続けられなくなりそうだ…と聞いたのが、3年ほど前のこと。
写真:義父の田んぼのお米(2022.08.14)
田んぼ仕事を引き継ぐことはできないけども、せめてそのお米だけでも引き継いでいきたいと、「じぃじのお米を育てようか」と、息子と話したのがきっかけです。
初めてミニ田んぼを作ったのが2021年。その結果は惨憺たるものでした。
写真:2021-10-05 撮影。初めてのお米クラブ活動
画像の下に見えるようにペット用の水槽を利用したミニ田んぼ。これは2年目で割れてしましった。
写真:収穫したお米(状態の良い粒はこのように数える程…)2021.10.15 撮影
ミニ田んぼとはいっても、ただ土を集めて水を張り、苗を植えただけのもの。
それでも実ったお米は小さくて細くて…いわゆるクズ米のようなもの。
これではダメだ!とメダカ飼育ケース(発泡スチロール製)を買い求め、土も義父の田んぼから少し分けていただきました。
写真:2022.01.03 撮影 義父に田の土を分けていただく
代掻きをして、そして種籾から苗を育てたのが去年の2022年。
そして今年で3回目のミニ田んぼ。回を重ねるごとにその難しさを痛感します。
でも今年は、種籾から発芽させて、育てた苗の一部を希望される患者さんにも“おすそ分け”して「一緒にお米を育てましょう!」と、お米クラブをスタート。
写真:2023.06.10 に田植えをしました
写真:穂がほぼ出そろった穂揃い期のミニ田んぼ(2023.08.07 撮影)
鍼灸治療の合間に、お互いのお米情報をやり取りするなどの楽しみも増えました。
また来院される患者さんの多くが稲の成長を楽しみに見守ってくれたのも嬉しかったことです。
「何合くらいできるでしょうねぇ」
「先生、そろそろ稲刈りですね。」
「去年よりも実が多いですね!」
…などなど、観察してくれました。
また小児はりに来る子どもたちの中には、田んぼの少ない地域から来院される子も少なくなく
「これがお米になるですよ~」と説明してみたりと、鍼灸以外の交流をもつことができました。
そして先日ようやく稲刈りにこぎつけ、お米クラブ2023の活動にひと区切りつきました。
刈り取った稲は稲木に干して乾燥させます。(2023.09.17 撮影)
写真:刈り取ったばかりの稲穂
刈り取ったばかりの稲穂からは「プチッ、カサ、プチプチ…」と“稲穂の声”が聞こえる…(2023.09.17 撮影)
今年のお米の出來はまだ確かめていませんが、まだまだお義父さんのお米の足元にも及ばない出来です(当たり前か…)
それでも、来年もお米クラブを活動するつもりです。来年に向けてちょっと田んぼMEMOを残しておこうと思います。
ミニ田んぼMEMO
栽培品種:あきたこまち(早生)
田植えの前に…土作り
12月の時点で、堆肥(わらや牛糞・おがくず等)を散布。
有機肥料は分解するのに時間がかかるため、この時期に行う。
「お米は地力で作る。麦は肥料で作る。」との言葉があるとのこと。
ちなみに、秋の肥料としてカブトムシの幼虫の糞を牛糞の代わりにすき込もうか…思案中です。
牛糞はムシ(ハエなど)が集まるため、治療院の玄関前にて施肥するのはちょっと問題アリ。
とはいえ、ネット上ではカブトムシ幼虫の糞は肥料にならず、植物の根の生育に良くないという意見もあり、しばらくは他の花壇で検証すべきか…といったところです。
耕起
耕起作業は、土を砕く目的だけでなく、
前作物の残渣を土中にすき込み腐熟を促進させる目的
土中に空気を入れ、かつ乾燥させ、有機窒素を無機化させる(乾土効果)の目的がある。
・水稲単作では、秋の稲刈りの後に一回程度荒起こしを行い、春の代かき前にもう1~2回耕起。
・稲・麦二毛作では、麦刈り後に麦藁のすき込みを兼ねて1~2回耕起する。
田植え直前~田植え時に肥料を施す。
それよりも早い時期には栄養分の流出を避けるため行わない。養分流出についてはミニ田んぼでは該当しないかもしれない。
苗作り
塩水選別・温湯消毒(60℃のお湯に⒑分、または58℃で15分。その後速やかに水冷却)を行い、
浸種(積算温度100)を行う。
写真:種籾を塩水選別し、温水消毒し、浸種の写真
これらの工程を行ったのは2023年は5月7日でした。
発芽を始めた種について。
最初に出てくる白い突起は、どうやら芽のようだ。
最初、根かと思って白い部分を下にして蒔いてしまった…(汗)
途中で思い直し、白い部分を上にして蒔き、2グループにしたところ…
新芽を下にした最初のグループは、地上部の発芽がずいぶんと遅れてしまった…(汗)。
次回は新芽を上に向けて蒔こうと思う。
写真:今年(2023年)の苗
また苗床は卵のパック(写真手前)に分けて植えると、田植えしやすかった。
早生のイネだと田植えの約50日後、晩生だと約80日後に出穂(しゅっすい)が始まるという。
写真:田んぼクラブ企画の発案者、息子クンと田植え。
2023年の田植えは6月10日に行った。
そして出穂、開花が見られ始めたのが7月29日。
写真:出穂期を迎えた稲穂たち
ちょうど田植えから49日のタイミングだあった。
(農作物や農家の人たちの経験・知恵ってホントにすごい!!と思いました。)
スズメの害について
お米クラブ3年目の活動にして、今年は初めてスズメの害に遭った。
最初は『スズメの2,3羽ていど、かわいいものだ』と舐めていたのだが…
ところが、意に反して、2,3羽から5,6羽、さらには10羽を超えるくらい団体さんで飛来するようになり、地面に落ちる籾殻の数も目に余るようになり…。
さらにはスズメの重みで折れてしまう穂が続出しだした。
写真:スズメに食べられてしまった稲穂
写真では見れないが、補が折れてしまっている…。
稲穂が出始めの頃は、甘い胚乳をスズメが好んで吸いに来るそうな。
スズメ対策としてネットを張ってみるも、効果はなし。ネットの中に簡単に入り込んでいた。
次に試したのが、CD盤(DVDディスク)ぶら下げ作戦。これは意外と効いた。
来年は出穂期からスズメ対策も始めておく必要があるだろう。
肥料について
元肥に対して、田植えの後に施す肥料を追肥(ついひ)という。
追肥のタイミングはいくつかある。
①分蘖(ぶんげつ)期、種まきから約60日。
分げつ期とは一苗におけつ茎の数を増やす時期です。この分げつ期の追肥によってお米の収量が変わる。
但し、ミニ田んぼなので茎数を増やす=収量Upにつながるとは言い切れない。
根を張れるスペースが限られているため、それに見合った茎数(苗数も)を育てる必要があるように思う。
②穂肥(ほごえ)
稲穂を太らせるために前もって追肥を行うのが穂肥(ほごえ)
穂肥は出穂の約25日前に行う、但しタイミングが重要で、早すぎると稲の徒長に繋がるため注意とのこと。
穂肥の他にもこの時期、出穂前(穂孕み期)~出穂後(穂揃い期)までは水を最も要する。
その後、間断灌水を行い、田を乾かす時期も必要とする。
根に酸素を送り、根の伸長を促すことが目的である。
この根の伸長によって、登熟を促進させることになる。
また、穂は雨水に濡れることで“いもち病(穂いもち)”を発生させる危険性があるため、それにも注意が必要だ。
③実肥
出穂後、登熟期の光合成を活発にさせるため、葉緑素を増強する窒素を中心とした追肥を行う。
これを実肥(みごえ)という。
実肥を行うのは、出穂から穂揃い期(出穂後約10日)までの時期。
健全な稲は出穂後、葉の色が濃くなり次々と開花受粉する。
登熟は稲の開花から40~50日の期間で、この時期に光合成を行い、デンプンを産生し胚乳に蓄える。
写真:登熟期の稲穂(2023.08.26)
写真:登熟期のミニ田んぼ
葉の色がかすんでいるような、緑が足りないような気がする。
登熟期に入る前に追肥を施しておくべきだったと思う。
ちなみに稲刈り時期も出穂から40~45日だという。。